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東大生の恋愛事情とは? 専門家が東大生にアドバイス 失敗重ねて恋愛上手に

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 イチョウ並木の葉も散ってしまった今日は多くの人が恋人と過ごすクリスマスまで約半月だ。そこで数人の学生にアンケートを実施して東大生の恋愛事情を調査。その上で、医学部健康科学・看護学科(当時)卒で「恋愛結婚学研究所」所長を務め、女性の恋愛・婚活を支援するサイト「愛カツ」を運営する新上幸二さんに学生たちの恋愛についてアドバイスをもらった。恋人がいて関係を持続させたい学生、恋人がおらず寂しい思いをしている学生は参考にしてほしい。

(取材・武井風花)

 

新上幸二(しんじょう・こうじ)さん (株式会社TOBE取締役)

 02年医学部健康科学・看護学科(当時)卒。IBMビジネスコンサルティングサービスなどを経て、16年より現職。女性の恋愛・婚活を支援するサイト「愛カツ」編集長、「恋愛結婚学研究所」所長。

 

気配りと経験で心をつかめ

 

――恋人がいる男性(法・3年)

 今の彼女とはサークルで知り合い、付き合い始めて1年半になります。何か不満があればすぐに言い、逆の場合はすぐに謝ることを心掛けています。面倒な時もありますがとても楽しいです。ただ、クリスマスはまだどこに行くか決めていません。

新上さん 順調そうですね。まず、不満について話し合っている点は良いと思います。価値観を擦り合わせる作業は関係を続ける上で大切です。単に謝るだけでは相互理解につながらないので注意しましょう。

 また、クリスマスの予定をまだ決めていない点が気になります。予定は早めに細かく決めた方が良いです。スケジュールを決めて無駄な移動を減らし、相手を気遣ってあげるのがデート成功の鍵です。

 

――恋愛経験ありで現在恋人がいない女性(文Ⅲ・1年)

 機会があれば恋人は欲しいです。今は同じサークルの人が気になっていて、アピールするために身だしなみをきちんとすることを心掛けています。会話力があれば進展させられるのにと思います。

新上 気になる人と距離を詰めるには、まずは相手と普通に会話できるようになりましょう。恋愛は日常会話の延長なので、特に身構える必要はないと思います。また、身だしなみに気を付けることは有効な手段です。7割の人は見かけで人の評価を決めるといわれており、実際髪型、服装を変えるだけで相手に対する印象は大きく変わりますのでぜひ続けてください。

 

――恋愛経験がなく恋人がいない男性(文Ⅲ・1年)

 癒やしが欲しいので恋人はできたらいいなとは思いますが、部活が忙しくて何もできていません。周りに彼女ができた人が増えてきて焦っています。

新上 まず部活で忙しいからといって何もやっていないのは言い訳です。本当に彼女が欲しいなら、インカレサークルに入るとか、女子の多い講義を取るだけでも変化を起こせるはずです。恋愛はより多く経験を積むことで上手になり、経験を積まないと下手なままです。恋愛をしたいなら彼女がいないことに危機感を持ち積極的に出会いを探しましょう。ですが、部活は大学生でしかできない経験なので、もし恋愛の優先順位が低いなら部活だけに集中するのもありです。時間には限りがありますから。

 

――恋人を特に欲しいと思っていない女性(工・3年)

 私は一人で行動するのが好きで、結婚の必要性も感じないので恋人も特に必要ないと思っています。以前付き合っていた人も友人のような関係でした。

新上 近年このように結婚にこだわらない人が増えているように感じます。他人との深い関係を求めなくなっており、特に女性については、出産、仕事復帰などで大きな負担がかかることで、デメリットが大きいと損得で結婚を考える人が増えています。でも、恋愛で得られる経験は貴重なもの。学生のうちに一度は恋愛をしてほしいです。

 

別れは恥?だが役に立つ

 

 新上さんは「恋愛は受験勉強と同じ」だという。受験勉強は問題を解き、間違えたらなぜ間違えたか考えて修正するという作業を多く繰り返すことで力が付く。同様に恋愛も多くの人と付き合い、失敗することで徐々にうまくなる。

 

 しかし、東大生は交際人数が少ない傾向がある。新上さんによれば、東大生には勉強に中学・高校時代の大半の時間を費やし恋愛に重点を置かなかった人や、異性と出会う場が少ない別学出身者が比較的多いことなどが主な要因として考えられるという。加えて「今まで成功経験が多いため、別れることを失敗と恐れ、一度付き合いだすとなかなか別れないことも影響しているのではないでしょうか」。

 

 そのことを踏まえて新上さんは、東大生には積極的に恋愛の失敗を重ねてほしいという。失敗は恥ずかしいからと訓練を避けているとさらに恋愛下手になり、恋愛経験を積んでいる人との差が開いていく。新上さんはこの現象を「恋愛格差」の拡大と呼んでいる。「良い相手と巡り合って恋愛をするには、失敗を恐れずとにかく多くの経験を積むことが大切です」

 

 

 しかし現在恋人がいないからといって焦る必要はなく、今しかできないことに集中していても問題ないという。特に東大生は大学時代恋愛をしなかったとしても結婚には有利な条件を持っているからだ。「今でも女性が男性に求める第一条件は経済的な安定なので、収入が比較的多い東大卒男性は婚活市場でとてもモテます」と新上さん。一方東大卒女性を取り巻く環境は厳しく「男性はプライドの生き物なので、自分より優秀な女性を恋愛対象として見ない傾向があります」。しかし結婚に困っているかというとそうではなく、多くは東大卒男性か外国人と結婚している。

 

 とはいえ、大学生にとって恋愛経験を積むことの重要性は変わらない。クリスマスまで残り半月。変化を起こしたい人は早速今日から恋愛経験を増やす努力をしてみてはいかがだろうか。

 


この記事は、2017年11月28日号に掲載された記事を再編集したものです。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

ニュース:進学選択を振り返る④ 進学選択参加者が大幅増 来年度定数調整へ 法・文Ⅰ枠削減か
ニュース:東日本でベスト8 軟式野球部 5年ぶりの快挙達成
ニュース:THE就職ランキング アジア首位の9位 国内大学の順位上昇
ニュース:スパコン世界一に ストレージ性能を評価
ニュース:宮台投手がプロ仮契約
ニュース:アメフト駒澤大戦 好機生かせず2敗目 次戦勝利で昇格戦へ
ニュース:全勝で2部優勝 ホッケー男子 5選手に個人表彰
ニュース:加力で変色する物質を合成
ニュース:坪内逍遥大賞に柴田特任教授 翻訳活動を高く評価
企画:揺らぐ「人間らしさ」 「もろ刃の剣」のゲノム編集
企画:東大生でも恋がしたい! 失敗重ねて恋愛上手に
研究室散歩:再生医工学 牛田多加志教授(工学系研究科)
100行で名著:『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』吉田尚記・石川善樹著
ひとこまの世界:神楽坂で恋愛祈願
キャンパスガール:杉山琴美さん(文Ⅲ・2年)

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東大生の恋愛事情とは? 専門家が東大生にアドバイス 失敗重ねて恋愛上手に東大新聞オンラインで公開された投稿です。


【2017年11月アクセスランキング】東大生の「銀行志向」に関心

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インタビューに応じる加藤教授(左)と東大生の銀行就職が多いことを伝える本紙記事

 

 東大新聞オンラインで11月に公開した記事の11月中のアクセスランキングを調べたところ、1位は銀行に就職する東大生の多さの理由を探る記事だった。銀行が東大生に人気である要因には、新卒採用が多いという銀行側の事情に加え、学生にとっては多くの東大卒業生が勤務しているという心強さがあることも考えられる。銀行志望の学生からは他にも「収入や社会的評価が高い」「同じ価値観を持つ人が集まっていそう」といった声が聞かれた。

 

 2位は10月22日の衆議院議員選挙について、本社が東大生341人を対象に行ったアンケート調査の結果を分析する記事。この調査で「投票した」と回答したのは全体の約75%で、総務省が発表した約54%という全国の投票率を上回る。比例代表の投票先は自民党が最多で約52%と、全国での同党の得票率約33%より高い。投票先や重視する政策といった東大生の選挙動向に高い関心が向けられた。

 

 3位と9位には受験生向け書籍『東大2018 たたかう東大』からの転載記事がランクインした。3位の記事では近現代史を研究する加藤陽子教授(人文社会系研究科)に戦前日本の軍部と外交について取材。加藤教授は受験生に対し、受験勉強は必ず役に立つとのメッセージを送る。9位は失敗をどう生かすかを研究する「失敗学」の提唱者・畑村洋太郎名誉教授に、自身の浪人時代の経験を取材した記事だった。

 

 4位は、硬式野球部の秋季リーグ戦をデータから振り返る寄稿記事。公式野球部は今季、法政大学に連勝し15年ぶりの勝ち点を得た。この躍進の背景には、宮台投手の存在のみならず、打撃面での伸びがあると分析されている。

 

 5位には杉本雛乃さん(工・3年)がミス・インターナショナル日本代表に選ばれたことを伝える記事がランクイン。杉本さんは来年11月日本で開催される世界大会に出場する予定で、「日本代表として日本人の強さや美しさを披露したい」と意気込む。

 

 8位はPEAKと呼ばれ全授業が英語で行われる教養学部英語コースの利点と欠点について、実際に在籍する学生の意見をまとめた記事だった。多様な学生と出会える点が利点だが、選択できる授業の幅が狭く、興味に沿った履修をしにくい点が欠点だという。

 

【2017年11月アクセスランキング】

1       なぜ東大生は銀行へ? 過去のデータと志望学生の声から探る

2       衆院選×東大生 5割以上が自民党に 18、19歳と20歳以上で投票率に差

3       【東大2018⑤】集合知を支え得る歴史像を 加藤陽子教授に聞く歴史学の面白さ

4       東大硬式野球部はなぜ勝ち点を取れたのか? 秋季リーグ戦をデータ面から振り返る

5       ミス・インターナショナル日本代表に杉本さん 「日本人の強さや美しさを見せたい」

6       【ミス&ミスター候補者図鑑】駒場祭3日目開票 栄冠は誰の手に

7       アメフト   国士舘大に敗れ今季初黒星 「力負け」で大量53失点    

8       【東大PEAKに迫る①】PEAK生が語る、制度の利点・欠点とは?

9       【東大2018③】東大教員の受験体験記 浪人は努力を学んだ、かけがえない1年

10      東大ガールズハッカソン2017 東大女子26人が2日間プログラミングに向き合う

 

※当該期間に公開した記事のみを集計

 

過去のランキング

【2017年10月アクセスランキング】「ボカロ」関連の記事が人気

【2017年9月アクセスランキング】哲学者の勉強論に高い関心

【2017年8月アクセスランキング】「駒場図書館冷房停止」が1位

【2017年7月アクセスランキング】宮台教授のメッセージに注目

【2017年6月アクセスランキング】「N高」に注目 論文不正問題に依然高い関心

【2017年5月アクセスランキング】高橋まつりさん関連記事に大きな注目

【2017年4月アクセスランキング】今年も新入生アンケートに高い関心

【2017年3月アクセスランキング】トップは東大生のテレビ 合格発表の記事も上位に

【2017年2月アクセスランキング】東大女子の座談会特集、入試関連記事に注目

【2017年1月アクセスランキング】1位はブラックラボ検証 受験関連記事も人気

【2016年アクセスランキング】東大新聞オンラインで今年1番読まれた記事は……?

【2017年11月アクセスランキング】東大生の「銀行志向」に関心東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【世界というキャンパスで】額田裕己さん④ 住民の結束力に感化

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 2週間近くの滞在の末クイーンズタウンでの生活に飽きた僕は、かねてよりの目標であるニュージーランド北上を始めた。紙面の都合上全てを伝えられないのが残念であるほどに、その旅は刺激的であったし波乱に満ちていた。ある街では出会ったインド人がこれでもかとご飯をおごってくれたし、別の街では自炊した料理にあたって寝込むことになった。10キロ先のスーパーマーケットまで歩いて往復したこともある。面白い話は山ほどあるが、ここは僕のFLYプログラムのテーマであるスポーツとの関わりに紙面を割こう。

 

 ニュージーランドは南島のほぼ中心、東海岸にクライストチャーチという大きな街がある。2011年に同市を襲った大地震でその名を記憶している人もいるのではないだろうか。そんなニュージーランド第2の規模を持つ都市に、パークランというイベントがある。代々木公園並みの巨大な公園の中で、毎週末に地域住民が皆で5キロ走る、という至ってシンプルなもので、参加費は無料、運営は同じ地域の市民ボランティアで成り立っている。実際はこれはクライストチャーチに限らずヨーロッパ中で毎週末行われている活動なのだが、ここではその説明は割愛しよう。そのクライストチャーチのパークランでボランティア活動をした僕は、地域の人々と交流を持つ機会があったのだが、彼らと話しているうちにかつての地震のことに話題が及んだ。5年前この建物が倒れた、電気が止まった、といった話の中で僕が一番関心を持ったのは、災害時の地域協力がいかに大事か、という話である。クライストチャーチに育ち、今パークランを運営しているニュージーランダーのお兄さんはこう話す。

 

 「皮肉なことだけど、大地震が起きたことでいざという時には地域住民の結束が大事だということに皆が気づいたみたいだ。ご近所同士の助け合いで、災害が起きた時の被害を最小限に抑えられるからね。僕には大それたことができるわけじゃないけど、毎週末パークランを開いていたら、地域の人たちが集まって交流を持つきっかけになるだろ? そうして地域の皆の仲がよくなってくれたら嬉(うれ)しいね」

 

パークランスタート前の市民(写真は額田さん提供)
市内中心部に残る、2011年に崩壊した大聖堂。今も記念碑のようにして立っている(写真は額田さん提供)

 

 漠然とスポーツボランティアをテーマにするより、地域におけるスポーツのあり方を深める方が面白いかもしれない。そう思った僕は、方針を転換することにした。実際にスポーツに参加しながら、その地域におけるスポーツのあり方を体感するのである。陸上競技にずっと興味を持っていた僕の場合、ランニングというスポーツに焦点を絞った。ランニングなら敷居が低くて地域の誰もが参加できるから、地域スポーツの探求、というテーマにもぴったりだ。そこで僕はニュージーランド全土のアスレチッククラブをしらみつぶしに探し、片っ端から慣れない英語メールを送った。その結果、北島はタウポという小さな街のアスレチッククラブで2週間一緒に練習させてもらう許可を得た。

 

 とはいえ僕の南島の旅はまだ続く。北島に上陸し、タウポに足を踏み入れるのはもう少し先の話である。

 

(寄稿)=続く

 

【世界というキャンパスで】額田裕己さ

【世界というキャンパスで】額田裕己さん③ 絶景を背にして湖畔を快走

【世界というキャンパスで】額田裕己さん② 英語力と自信つかむ

【世界というキャンパスで】額田裕己さん① 大自然での一人旅へ


 この記事は、2017年12月12日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

インタビュー:「教科書」は自分で作る 藤本淳史さん(お笑い芸人)
ニュース:最終戦に敗れ4位 アメフト横国大戦 昇格戦進出ならず
ニュース:推薦入試第1次選考 微増の135人合格 医・健総では初の合格者なし
ニュース:博士号取り消す 学際情報学府で
企画:信じる笑いを、全力で届ける 笑いにひたむきな東大生に迫る
企画:あなたの知らない笑いの効果 研究進む「豊かな笑い」
企画:不遇感じさせぬ活気 古典落語・狂言に見る庶民の暮らし
東大新聞オンラインアクセスランキング:2017年11月
東大最前線:光で生命現象を制御 佐藤守俊教授(総合文化研究科)
東大今昔物語:1989年12月12日発行号より 時代超え生き続ける 東大の象徴安田講堂
世界というキャンパスで:額田裕己さん(文Ⅲ・1年)ニュージーランド編④
キャンパスガール:礒田杏実さん(理Ⅲ・1年)

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【世界というキャンパスで】額田裕己さん④ 住民の結束力に感化東大新聞オンラインで公開された投稿です。

大学スポーツの安全性・財源強化へ 日本版NCAA構想に迫る

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 日本版NCAAという言葉を聞いたことがあるだろうか。NCAAとは「全米大学体育協会」のことで、米国の大学スポーツを一元的に管理し、各大学のクラブへの運営支援を担う組織。同様の仕組みを日本の大学スポーツにも導入する試みがスポーツ庁主導で始まっている。スポーツ庁の日本版NCAA創設に向けたワーキンググループ(WG)に参加する境田正樹理事の話から、構想の実態や実現への道筋に迫る。

(取材・関根隆朗)

 

 構想では、加入大学に各運動部をまとめる「アスレチック・デパートメント」を置き、各大学を日本版NCAAが統括するというもの。共通の安全基準や学業成績要件を設け、安全性確保や、学業とスポーツの両立実現を図る。

 

 

 そもそも日本の大学スポーツでは、運営に大学が関与せず学生の自主性に委ねる方針が取られてきた。しかし、安全管理の欠如、不明確な責任体制、卒部生の寄付に依存した資金運営、所属学生への学習支援の不足など多くの弊害が発生。競技別の学生競技連盟(学連)の存在も、連盟を超えた交流を阻害している。

 

 これを受け、昨年からスポーツ庁内で日本版NCAA構想が議論され、今年3月には18年度中の創設を目指すことが決定。9月に具体的な制度を設計する「学産官連携」の協議会が発足した。大学だけでなく学連も参加し、大学スポーツ関係者の連携の場となることが期待される。

 「ヒントは、3年前の国際バスケットボール連盟から日本バスケットボール協会への制裁に端を発するプロバスケットボールリーグ・Bリーグ立ち上げと、日本バスケットボール協会のガバナンス改革にあります」。Bリーグは元々あった二つのリーグを統合したもので、統合後の売上高は統合前の2リーグ合計の6倍以上となり、日本バスケットボール協会の売上高も2倍以上に増加した。この要因は三つあるという。

 

 一つ目がガバナンス改革。日本バスケットボール協会に加えてBリーグ所属クラブや都道府県バスケットボール協会など、傘下団体の法人化やガバナンス改革を進めた。二つ目がデジタルマーケティングの導入。ウェブ上でのチケット販売やデジタルコンテンツ配信を行い、その中で得たビッグデータをリーグ運営法人と各クラブで共有することにより、新規顧客開拓やスポンサー営業などのマーケティング活動を実践した。三つ目が権益の統合。リーグと協会がそれぞれ持っていたスポンサー権、放映権などの権益を統合し、パッケージ化することで権益の価値を最大化した。

 

 境田理事は日本版NCAAでも同じ手法が有効と話す。各大学の運動部統括組織と各競技を統括する学連組織のガバナンス改革。各学連や各運動部統括組織の有するデータの一元管理と、このデータを用いたデジタルマーケティングを実践できる体制の構築。各学連の持つ権益の統合による価値の最大化。以上三つの改革により大学スポーツ全体のブランド価値を高め、日本版NCAAのみならず各学連、各大学の運動会統括組織にも収益が上がる構造を構築できる。

 

 境田理事は、社会や経済を変える潜在力がこれらの構想にあると指摘する。現在日本では、Society5.0(第四次産業革命)に向け、人工知能やIoT、ビッグデータ解析、ロボット開発などの分野でさまざまな技術革新が起きているが、情報インフラとネットワーク体制が圧倒的に不足している。大学が有する知、技、人材、情報ネットワークを活用し、大学を起点とした知識集約型の産業集積拠点を構築できれば、この課題は克服される。各大学が他の大学や自治体、スポーツ団体や企業と連携を図りつつ、日本版NCAA構想をきっかけとして、この構築に取り組むことができるのではないか。東大で昨年設置されたスポーツ先端科学研究拠点にはスポーツ科学のみならず医学、工学、薬学、情報理工学など様々な研究者が参加しており、この役割を担うことができるのではないかと考えている。

 日本版NCAAの実現に当たっては、各大学や各競技団体の意向を尊重し、一律的な加入強制は考えていないという。実際、米国の本家NCAAでも非加入の団体は多く存在する。目下の課題は日本にスポーツマネジメントのノウハウがある人材が少ないこと。しかし国の後ろ盾のなかったバスケットボール界の改革やBリーグ創設に比べれば、今回の構想はスポーツ庁が中心となり、文部科学省の高等教育局や関連企業、有識者の協力も得られるため、実現は十分可能と境田理事は話す。「構想で重要なのはスポーツを通じた教育の充実で、主人公はあくまで学生の皆さん。各部の統括業務、企業との渉外など日本版NCAAが絡むあらゆる場面で、若い方に参加してもらいたいです」

大学スポーツの安全性・財源強化へ 日本版NCAA構想に迫る東大新聞オンラインで公開された投稿です。

硬式野球部はなぜ勝ち点を取れたのか? 監督・選手の話で振り返る秋季リーグ戦

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 秋季リーグで3季ぶりのシーズン3勝、15年ぶりの勝ち点、そして20年ぶりの単独最下位脱出を遂げた硬式野球部(東京六大学野球)。プロ入りした宮台康平投手(法・4年)の復調に加え、チーム本塁打数はリーグ3位の8本、チーム打率も2割4分7厘と戦後最高記録の2割5分3厘(1995年春)に迫るなど打線の奮起が際立った。10戦全敗だった春からここまでの躍進を遂げた要因はどこにあったのか、部員・監督の話から迫る。

(取材・関根隆朗)

 

 

 

春は全敗、主将はけが・・・ 戦前予想そのままに開幕2連敗

 

 浜田一志監督は「開幕時点で、悪くても2勝、うまくいけば6勝はいくつもりだった」と豪語する。東大は8月に他大学とのオープン戦を戦うが、「打線の得点能力はオープン戦では1試合平均1~2点。出てくる投手が決まっているリーグ戦なら4点は狙えると思った」。宮台投手も投げ込みで制球力を高め、「良いときと悪いときの波は激しいけど、3勝3敗くらいかな」と計算していたと話す。

 

 しかし東大の前評判は低かった。春は宮台投手が制球難から大不振に陥り、他の選手にも不調が伝染。チーム防御率は8.58、チーム打率は1割7分8厘と投打共に低迷し、10戦全敗に終わっていた。

 

 「中軸を打つ山田大成選手(育・4年)、楠田創選手(育・4年)、田口耕蔵選手(育・4年)以外の選手が台頭すること」「宮台投手の復調」。この二つが勝ち星には必須と思われた。しかし8月中旬の七大戦では、山田選手が負傷。打線の中軸かつ精神的支柱でもある主将の出場が危ぶまれ、厳しいシーズンになることが予想されていた。

 

 迎えた立教大学との開幕戦。浜田監督は先発に宮台投手ではなく濵﨑貴介投手(理Ⅱ・2年)を起用した。「宮台は試運転が必要と思ってね。『1回戦はリリーフ、2回戦は先発』と本人にも伝えていた」。しかし結果は2連敗だった。2回戦に先発した宮台投手は二回までに6点を奪われ、8回8失点。山田選手が欠場する中で打線もつながりを欠き、2試合でわずか2得点に終わった。

 

 浜田監督は立大戦直後を「内容的にも悪い負け方だったし、ムードは悪かったね」と振り返る。選手からも「春は10戦全敗。開幕も2連敗。『やはり勝てないのか』と悪い雰囲気がチームには漂いました」と当時の沈滞したムードが聞かれた。

 

立大2回戦、三振に倒れて最後の打者となった田口選手

 

先頭打者で扉こじ開ける

 

 悪い流れの中迎えた慶應義塾大学戦。「慶應は投手陣に不安を抱えていた上、第1週に試合のなかった彼らは我々との試合が開幕戦だったので、つけ込む隙はあると思っていた」と語る浜田監督は、この大一番で賭けに出る。先発野手のうち3人を2年生以下の下級生に入れ替えたのだ。中でも1番には、立大戦で代打出場し2戦連続安打をマークした岡俊希選手(文Ⅰ・1年)を起用。「初回に先頭が出るか出ないかが、残りのシーズンの流れを決めると思っていた。岡が一番フルスイングできていたので、そこに賭けました」

 

 結果は吉と出た。初回表、岡選手が11球粘った末に敵失で出塁。すぐさま代走を送り、犠打と犠飛で先制点を奪い取る。監督が「シーズンのターニングポイントを挙げるなら、この試合の初回での岡の出塁」と振り返るほど、重視した先頭打者だった。

 

 他の下級生も結果を残した。2番で初スタメンの辻居新平選手(文Ⅰ・2年)が2安打で1打点、岡選手の代走から1番に入った新堀千隼選手(理Ⅱ・2年)は六回に相手を突き放す自身初本塁打を記録。彼らの働きなしでは、5点は奪えなかった。

 

慶大1回戦で貴重な追加点となるソロ本塁打を放った新堀選手

 

 浜田監督は彼らの活躍について「3番4番にリーグでも並以上のレベルの楠田・田口がいたからね。相手投手は『中軸の前に走者を出したらマズい』と嫌でも意識する。結果、相手は実力を出せないというわけです」と解説。以降1番に定着した辻居選手は、シーズン打率3割8厘、9得点を記録し、リードオフマンとしてこれ以上ない働きを見せることになる。新堀選手もシーズン2本塁打を記録し、早稲田大学戦から山田選手が復帰した後も二塁手のスタメンを勝ち取った。

 

慶大戦以降1番に定着した辻居選手は、最終的に打率3割8厘をマーク

 

 先発の宮台投手もこの日は低めに球を集め、9回2失点の快投で完投勝利。後に東北楽天ゴールデンイーグルスに2位指名される岩見雅紀選手(4年)には、タイミングを外す投球を見せ、4打数1安打に抑えた。

 

慶大1回戦で安定感ある投球を見せた宮台投手

 

 続く2回戦、3回戦には敗れて勝ち点は逃すが打線は好調を保ち、3回戦では辻居選手・楠田選手の本塁打などで14年ぶりの2桁得点を記録。山田主将は「チームに言い続けてきた『勝っていても負けていても目の前の一球に魂を込めて戦う』ことを、皆が体現してくれた」と振り返る。慶大からの1勝を契機に、ここ数年でも稀に見る「強打の東大」が猛威を振るい始める。

 

 

 

「七転び八起き」で勝ち点奪取

 

 迎えた法政大学との1回戦。この試合、浜田監督は「相手の投手は緊張していた。ここ数年で東大が勝ち星を挙げた試合の多くは法政が相手。彼らからしたら嫌な相手ということでしょう」と振り返る。実際、相手はこのシーズン5勝を上げる菅野秀哉投手(3年)が先発したが、球は高めに浮き、目に見えて調子が悪かった。

 

 好調の東大打線は、相手の失投を逃さない。三回で菅野投手をノックアウトすると後続投手からも得点を重ね、何と五回までに大量8得点を奪う。「時間をかけて体をつくってきた成果が出た瞬間でした」。大量の援護を受けた宮台投手は安定感のある投球でシーズン二つ目の完投勝利を上げた。

 

五回、三鍋秀悟選手(工・3年)の適時打で一挙5点を挙げて法大を突き放す

 

 翌日の2回戦も打線は好調を維持。初回、先頭の辻居選手の左前打を口火に、打者9人の猛攻で一挙4点を奪う。「初回の入りが大事という話をしていた中であのような攻撃ができて、チームとして乗っていけました」と山田主将は振り返る。

 

初回、楠田選手の先制適時打を皮切りに、一挙4点を奪う

 

 その後1点差に詰め寄られるが、五回に田口選手の3点本塁打などで再び4点を挙げて突き放す。迎えた六回、浜田監督は救援して好投していた宮本直輝投手(文Ⅰ・2年)を下げ、宮台投手をマウンドに送る。「試合前の段階では『リードしたら2イニング』という話だったんだけど、宮本はあの時点で肩の疲労がたまっていてね・・・・・・。宮台には思い切って六回から投げてもらいました」

 

勝ち点を大きく引き寄せる3点本塁打を放った田口選手

 

 浜田監督は試合前のミーティングで選手たちに「七転び八起きだ、絶対に諦めるな」と話していたという。4点リードから1点差まで詰め寄られた四回、1点リードながら2死二、三塁と一打逆転まで追い詰められた最終回。何度も危ない場面はあったが、全員野球で法大を寄り切った。「終わってみると『七転び八起き』の言葉通り、スコアも8-7。何の偶然でしょう(笑)」

 

「チーム一丸」がチームに勝機呼んだ

 

 シーズンを振り返って、浜田監督は「山田のけがで、逆にチームが一丸になれた」と話す。4年生は元々力のある選手が多かったが、今までは「マイペース」だった代。しかし今季は、選手だけでなくデータ分析班やマネジャーも含めて、上級生を中心に団結できたという。分析班の活躍には、山田主将も言及。「打線爆発の要因は、各人が自分のできること・できないことをしっかり整理し、役割を明確にした上で思い切った打席を送ることができたこと。ではなぜ思い切った打席を送れたかといえば、分析班のサポートがあったからです」

 

 シーズン中も、監督・選手から「チーム一丸」という言葉が多く聞かれた。「開幕2連敗から、チーム全体の一体感というものをより意識してチームを立て直すことができた」(山田主将)。個々の力の結集が、実を結んだ。

 

勝ち点を挙げ、試合中はポーカーフェイスの宮台投手にも笑みがこぼれる

 

【関連記事】

東大硬式野球部はなぜ勝ち点を取れたのか? 秋季リーグ戦をデータ面から振り返る

硬式野球部はなぜ勝ち点を取れたのか? 監督・選手の話で振り返る秋季リーグ戦東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【2017年アクセスランキング】まつりさんの記事が今年の年間1位に

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(右上から反時計回りに)高橋まつりさんの母幸美さんと川人弁護士、16年度卒業・修了者就職先上位一覧、ブラックラボ連載初回記事に掲載されたイメージ画像、社会学者の宮台真司教授

 

 東大新聞オンラインで2017年に公開した記事の17年1月1日~12月31日のアクセス数を調べたところ、1位は東大OGで電通に入社後過労死した高橋まつりさんに関する記事だった。努力家とされたまつりさんが望んで電通に入社した後、追い詰められ自殺するまでの経緯が、まつりさんの大学時代の友人や母親の幸美さんへの取材で明らかになる。記事は「まつりさんの死は人ごとか」との見出しの通り、まつりさんの電通入社前の自信とその後の変化を対比し、過労死を人ごとと捉える東大の就活生に警鐘を鳴らす。事件の遺族代理人である川人博弁護士にも話を聞き、過労死問題の根深さを訴える声を紹介。事件への社会的な関心の高さから大きな注目を集めた。

 

 2位にランクインしたのは、16年度の東大の学部卒業生、大学院修了生の就職先を報じた記事。学部卒業生の就職先はトップ3をメガバンク3行が占め、過労死事件にも関わらず電通が就職者数10位に上昇するといった特徴が見られた。一方、トヨタ自動車が最多だった大学院修了者の就職先では、15年度からのランキング上位の入れ替わりが激しい。4位には東大生の銀行就職が多い理由を考察した記事もランクインしており、東大生の就職事情への高い関心がうかがえる。

 

 3位に入ったのは、ブラックラボについての連載初回記事だった。ブラックラボとは、拘束時間が長くハラスメントがあるブラック企業の研究室版を指す。この記事では指導教官が厳しいとあるバイオ系の研究室での実例について匿名の卒業生に取材。予備実験やマニュアル作りばかりを要求され、なかなか卒業論文や修士論文のための本実験を行えなかった内実を克明に描く。「ブラック」という昨今話題のテーマと、東大の研究室の内情という題材が注目を集めたようだ。

 

 5位には、東大OBの社会学者、宮台真司教授(首都大学東京)へのインタビュー記事がランクイン。宮台教授は「法は破るためにある」と説き、既存の考えに固執し「法外」を恐れるが故にヘイトがまん延する現代の「世直し」を主張。若者には自分に合うかどうかではなく自分がやりたいかどうかを基準に進路を決めてほしいと語った。

 

 6位はいまだに盛んな東大生のバラエティー番組出演について、実際にテレビに出た学生の見方を紹介する記事だった。記事では複数の学生が、番組が東大生の「頭の良さ」や「変人ぶり」を強調しようとすることを指摘。東大生が良くも悪くもコンテンツとして利用されている実情を明らかにした。

 

 7位に入ったのは東大新入生へのアンケート結果を報じた記事で、女子学生家賃支援の賛否や支持政党についての新入生の意見を伝えた。8位には東大女子の座談会報告記事が入った。日本ビジネスシステムズの副社長と東大OGの起業家を交えて行ったこの座談会では、女子の少ない環境に置かれる東大女子の悩みなどが話題に上がった。

 

 9位には千葉雅也准教授(立命館大学)へのインタビュー記事がランクイン。『勉強の哲学』を今年4月に刊行し話題をさらった気鋭の哲学者に、自身の受験の経緯や大学での学生生活、勉強とは何かについて聞いた。10位は東大で開かれている「障害者のリアルに迫るゼミ」への取材記事。このゼミでは、講師となる障害者が一切のタブーを抜きにして語るリアルな本音が学生の障害者像を壊すという。障害者と同様レッテルを貼られがちな東大生が、授業を通して多くの気付きを得る様子を伝えた。

 

【2017年11月アクセスランキング】

1       高橋まつりさんの死は人ごとか 東大OGの過労死を巡って

2       東大の16年度就職状況、三大銀行が上位独占 電通は倍増で学部10位

3       実験できない研究室【調査報道:ブラックラボとは何か①】

4       なぜ東大生は銀行へ? 過去のデータと志望学生の声から探る

5       「法外」を恐れるな 社会学者・宮台真司教授インタビュー

6       バラエティー番組の中の東大生 現役学生の視点から

7       東大新入生アンケート2017② 支持政党は自民36%、民進3.4% 無支持は4%減   

8       東大女子の座談会 ―私たちの悩みと理想の働き方―

9       千葉雅也准教授インタビュー・哲学者から見た受験勉強 勉強は知の人類史の継承

10     障害者は生き苦しい、東大生だって生き苦しい

※当該期間に公開した記事のみを集計

 

過去のランキング

【2017年11月アクセスランキング】東大生の「銀行志向」に関心

【2017年10月アクセスランキング】「ボカロ」関連の記事が人気

【2017年9月アクセスランキング】哲学者の勉強論に高い関心

【2017年8月アクセスランキング】「駒場図書館冷房停止」が1位

【2017年7月アクセスランキング】宮台教授のメッセージに注目

【2017年6月アクセスランキング】「N高」に注目 論文不正問題に依然高い関心

【2017年5月アクセスランキング】高橋まつりさん関連記事に大きな注目

【2017年4月アクセスランキング】今年も新入生アンケートに高い関心

【2017年3月アクセスランキング】トップは東大生のテレビ 合格発表の記事も上位に

【2017年2月アクセスランキング】東大女子の座談会特集、入試関連記事に注目

【2017年1月アクセスランキング】1位はブラックラボ検証 受験関連記事も人気

【2016年アクセスランキング】東大新聞オンラインで今年1番読まれた記事は……?

【2017年アクセスランキング】まつりさんの記事が今年の年間1位に東大新聞オンラインで公開された投稿です。

想像と創造は経験から -東大教授2人に聞く 読む・詠む 短歌の魅力-

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 毎年正月には、題にちなんだ和歌を披露する「歌会始(うたかいはじめ)の儀」が宮中で行われる。三十一文字(みそひともじ)という短い形式で感情や風物を詠む和歌・短歌は奈良時代以前から現代まで受け継がれ、日本文化に欠かせない一部分だ。古典和歌を鑑賞する面白さ、現代短歌を詠む楽しさとは何か。古典和歌研究の第一人者と、東大で研究する傍ら、現代短歌の世界で活躍する歌人の2人に聞いた。

(取材・吉良椋)

 

ルールを覚えて解釈深める

 

 和歌の解釈とはどのような作業だろうか。「和歌文学大辞典」の編集委員を務め、和歌入門書も多数執筆する渡部泰明教授(人文社会系研究科)は「和歌が詠まれた時代の言葉の意味を踏まえながら、作者の意図に即して解釈します」と語る。万葉集から古今和歌集、源氏物語と時代が下るにつれ、作者が踏まえる表現の種類は増えていく。渡部教授は「古い作品からの本歌取りはもちろん、漢詩文などから表現を取り入れることもありますね」と説明する。

 

 和歌の解釈には困難が待ち構える。「和歌の解釈はただ作品を現代語に置き換えるだけではありません」と渡部教授。「言葉に出ている部分はあくまで氷山の一角にすぎず、言葉にならない隠れている部分を掘り起こすのが難しい」。そこで解釈の助けになるのが時代の背景知識と、和歌固有の表現のルールである「様式性」だ。

 

 時代の背景知識が解釈の助けとなる和歌に、古今和歌集の冒頭の歌がある(図1)。平安時代に詠まれた正月にちなんだ和歌だ。「これもただ訳しただけでは面白さが分かりませんが、立春の慶(よろこ)びを演技性豊かに表したと理解すれば、面白い歌になるのです」。背景知識が解釈の助けになる興味深い一例だ。

 

 

 「様式性」が解釈の助けとなる一例として、例えば「恋」がテーマの和歌の場合「恋人とデートできてうれしい」と詠まれることはないという。恋は常につらいもの、片思いのものとして詠まれる。だからといって、恋人との逢瀬(おうせ)を詠むことができないわけではない。「後朝(きぬぎぬ)の別れ」と呼ばれる、「いかに別れがつらかったか」ということを詠む手法がそれだ。「つらさの裏に、逢瀬の喜びが含まれているのです」と渡部教授は語る。 

 

 解釈の上達のためには、たくさん和歌を読むしかないという。数をこなしてくると、ある和歌を目にしたときに、思い浮かぶ和歌が増え、いくつもの和歌の情景が重なっていくことで、解釈も容易になる。

 

 和歌には多くのルールがあると思われがちだが、渡部教授は否定する。「実は和歌のルールの種類は、それほど多くありません。逆に様式性や背景知識を覚えてしまえば、作品の言外の意味まで読み取れるようになり、作品鑑賞に深みが出てきます」

 

渡部泰明(わたなべ・やすあき)教授 (人文社会系研究科)

 86年人文科学研究科(当時)博士課程中退。博士(文学)。上智大学助教授などを経て、06年より現職。

 

感覚を頼りに試行錯誤重ねる

 

  坂井修一教授(情報理工学系研究科)は、自身の研究を行いつつ、現代歌人協会の理事も務めるなど短歌の第一線で活躍する異色の歌人だ。

 

 坂井教授が短歌と出会ったのは大学2年生の春。同級生に短歌誌「かりん」の歌会に連れて行かれたことがきっかけだった。「それが運の尽きです。まさか40年も続けることになるとは思っていなかったですね」と笑う。研究の傍ら、作歌に取り組み続ける理由としては「何かを表現したいという欲求を満たすのが、自分にとって短歌という形式だった」と話す。全くの未経験者だった坂井教授は「かりん」で多くの会員と交流しながら歌人となった。

 

 科学者であることが作歌に与えた影響は大きい。「理系の学者としての基盤は論理ですが、歌人としての基盤は感情や感覚。例えば文明の進歩が人類の進歩という考えが理系では自然なものですが、芸術の分野ではむしろ逆で、野性味など人類の持つ本来の能力は後退していると考えます」と坂井教授。文明の進歩を人類の進歩と捉える考え方を留保することが創作の大きな動機になるという。

 

 坂井教授が挙げた冬の歌は、作歌を始めて1年ほどのころに詠んだ第一歌集の巻頭歌だ(図2)。作歌の際に気を付けた点として坂井教授は言葉のリズムと響きを挙げた。ただ、気を配るべきはこれらの要素だけではない。「例えば、あ行、か行、さ行は音がきれいですが、この音を連ねるときれいな歌ができるかといえば実はできません。秀歌は理詰めでは生まれません」。言語を感覚的、感情的に出し入れしながら、韻律と意味が合う形を探っていくという。短歌を初めて作る際は、現代歌人の歌集を手に取るとともに「お試し感覚で詠んでみることが大事」と坂井教授。TwitterなどのSNSで自作を発表するのも一つの手段だ。「一つのツイートでも4首詠めます。そこで人の批評を受けることが大事です」。ここで大事なのが、うまく詠めないことを厭(いと)わないこと。「絵でも文芸でも、駄目な作品が財産になる。いろんなものを吸収して短歌がうまくなっていきます」

 

 

 坂井教授は「作歌はすればするほど面白い。短歌は科学技術全盛の時代でも残っている、感情や感覚、本能を含めた人間の全体を味わうきっかけになるでしょう」と魅力を語る。試行錯誤の先に、魅力的な短歌の世界が広がっている。

 

坂井修一(さかい・しゅういち)教授 (情報理工学系研究科)

 86年工学系研究科博士課程修了。工学博士。筑波大学助教授などを経て、01年より現職。現代歌人協会理事も務める。


 この記事は、2018年1月1日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

インタビュー:根本かおるさん(国連広報センター所長)
ニュース:有期職員の雇用上限廃止 5年勤続で無期契約可能に
ニュース:割れてもくっつくガラスの開発に成功
ニュース:理学部1号館で人倒れ救急搬送
企画:2018年の東大を予習
企画:謹賀新年 読者の皆さまへ 本紙編集長 児玉祐基
企画:平成30年に元号の意義を考える 身近な「時代の象徴」さあ次は
企画:想像と創造は経験から 読む・詠む 短歌の魅力
東大今昔物語:1989年1月10日発行号 新年に信念持って行動
キャンパスガイ:岡田忠志さん(文Ⅰ・1年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

想像と創造は経験から -東大教授2人に聞く 読む・詠む 短歌の魅力-東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【N高生のリアル⑩】生徒の人生にホームを作る N高サッカー部が目指しているもの

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 ネットの高校・N高の、「ウイニングイレブン 2018」 による部活動。クイズ研究会に続く、N高ネット部活第2弾として、サッカー部の活動の模様をお送りする。ウェブメディアでは盛んに取り上げられた時期もあったが、今はどうなっているのか。その内実に迫る。

(取材・沢津橋紀洋)

 

 記者が訪れた日は、N高サッカー部にとって一つの記念になる活動日であった。部員の一人、相原翼くんが 公式全国大会「Winning Eleven AFC Champions League 2017」での決勝トーナメントの戦いを終えた後の最初の活動日で、部内はお祝いムードに包まれていた。

 

会場の埼玉スタジアム

 

N高サッカー部の日常

 

「翼くん、お疲れさん!」

 Skypeにログインして登場した翼くんに、サッカー元日本代表・秋田さん が声を掛ける。

 

 秋田さんを招いての活動は、月に1回開催され、部員とSkypeでつなぎながら、試合をYouTubeで配信して、それを秋田さんがディスプレーで見ながら指導をしている。普段はオンラインで部員同士対決しあったり、部員以外のプレーヤーとも対戦に挑むなどして、腕を磨いている。

 

 

 この不思議な空間で、一体何が起きているのだろうか。

 

リアルサッカーの再現性

 

 

 N高サッカー部特別顧問を引き受けた秋田豊さん。日本代表では1998年W杯でセンターバックのレギュラーを務めた。そんな秋田さんは、過去にニコニコ生放送のサッカーゲームプレイ 企画に解説として出演する機会があった。 プロチーム監督経験もあり、下の年代の指導も行なっており、その姿を見た職員が、「子供との距離の縮め方が抜群に上手い。あれほど子供と関係性を築くのがうまい人は見たことがない」(N高職員・山田さん)と惚れ込み、特別顧問のオファーに至った。

 

 元日本代表の方がゲームを指導するとは、と記者が水を向けると、「リアルなサッカーの再現性が向上していて、今は現場の人が参考にしても良いレベルだと思う。ゲームを使って監督が『俺はこういうサッカーをしたいんだ』と見せてもいいよね」と語る。実際に、生徒のプレーを見ながら「中盤でのプレッシャーが遅れたね」「クロスのコースをあけちゃったね」など、戦術的な指導を飛ばしていた。

 

Winning Eleven AFC Champions League 2017での翼くんの試合

最近のウイイレはもはや「プロチームがシミュレーションに活用できる」ほど、現実のサッカーを再現できるようになっているという(秋田さん談)

 

 記者が取材した日はまず、翼くんの全国大会での試合の様子をみんなで観戦して、翼くんの反省、部員からのコメント、また秋田さんからの指導をもらう時間だった。

 

 最初の振り返りで、「あまり緊張しなかった。(試合のYouTubeでの)配信がなかったので。屋外でしたし」とボイスチャットで述べる翼くんに対し、秋田さんは「なるほど、5万人くらい観ていないとアドレナリンが出ないということだな。そうしたら俺と同じレベルに行ったよ(笑)」と和やかに会話をする。

 

 翼くんが1対4で敗れた準々決勝の試合を見ながら、「守備はどう対策したの?」(秋田さん)、「3トップが強いので、リトリート(引き)気味で」(翼くん)などの会話が進む。

 

 秋田さんは他の部員に「今のシーンどう思う? 相手との距離感」など話を引き出しながら、「翼くんは攻撃力では相手に負けてない。守備力をどう上げていくかだよ。日本のトップトップでも、(対峙して)1m間をあけたらドリブルで仕掛けられる。(全国大会という)このレベルになってくると、守備がないと勝てなくなってくる。逆にいうと、翼くんは相手を崩すだけの力は持ってるから、守備さえできれば勝てる」と、日本代表レベルを見据えた実質的な指導を重ねていく。

 

 話は試合環境に及び、(埼玉スタジアムという)秋空の下、屋外で行われたため「寒くて手がかじかんだ」という翼くんに対し、「それも経験じゃん。どんな環境になっても、相手は同じ。自分にとってプラスの環境だと思えるか。俺もさ、国外の代表戦で、ゴール前に釘が落ちてた時があったよ。日本じゃありえないことが平気で起こるからね。いろいろな想定で準備することだよ」と語る。

 

一生の友達ができる場所を作りたい

 

 Skype越しに、 ディスプレーを介した指導関係。生徒たちの顔は見えないが、指導しにくくはないのか、と秋田さんに問うと「確かに、僕だって彼らの顔は見たい。でも彼らにも守りたいものはあるから。(会ったことは)あるよ。一緒にリアルサッカーをしたよ」と語る。

 

秋田さんは生徒のプレーを見て、

「まなと君、惜しい!!」

「そんなオシャレなシュートしちゃう!?」

「ロオン君! 利き足まで考えないと!」

「ヘディングで点取るの、気持ちいいね。俺もよく点取ったよ頭で」

など、一喜一憂してコメントをする。

 

「自分はもちろん、サッカーを教えたいというのもあるけど、それよりも、彼らにとってのコミュニティをつくりたい。高校は一生の友人ができる場所だから。彼らの眠っている才能をどう引き出せるか。これまで育つ中で、何かしらのことでつまずいて力が発揮できない子も世の中にはたくさんいるけど、この場所で、目標のために努力することとか、みんなで協力することとかを学んでくれたら」

 

「N高が僕を選んでくれたから、自分の持っているものを全て出して、彼らの成長に貢献するだけ」(秋田さん談)

 

立ち上げから1年、生徒と作った軌跡

 

 「彼らは最初の頃は、Skypeで集まっても、ほとんど喋ることはなかったが、今ではよく話すようになった。秋田さんとずーっと信頼関係を築いて。今日は今までで一番くらい話していました。(部員の)結束力は高いと思います。今は翼くんが一番うまいですけど、他の部員も、声には出してませんけど、『絶対強くなる』と思って影で努力していることを僕は知っています(笑)。すごい練習してきたりするので」とN高職員、山田さんは言う。

 

生徒たちの成長を見守り続ける、N高ネット部活担当の山田さん

 

「部としての目標は公式大会 で成績を残すことというのはもちろんあるんですけど、それと同時に 僕たちは彼らに居場所を作りたい。 失敗しても戻ってこられる場所、自分はここにいても大丈夫と言う場所。ここを踏み台に、次の挑戦に行ってほしい」(山田さん)

 

 N高サッカー部の、生徒の「ホーム」作りの挑戦は続く。

***

「ウイニングイレブン 2018」/ ©Konami Digital Entertainment

 

【N高生のリアル】

昼休み明けの恒例授業「サークルリーディング」とは?

東大受験から基礎固めまで レベルに合わせた英語教育

「N高は『道具箱』」 可能性を生むプログラミング

ITで教育はどう変わるか? 「N予備校」の理念や開発経緯に迫る

Slackで交わされる「オンラインホームルーム」とは

長期実践型教育「プロジェクトN」のリアル

「皆は俺の宝だ〜!」奥平校長の愛の叫びと海外からのまなざし

ネット部活のリアル N高クイズ研究会の生態系

「孤独な通信制」という常識を覆す Slackで育まれる友情

【N高生のリアル⑩】生徒の人生にホームを作る N高サッカー部が目指しているもの東大新聞オンラインで公開された投稿です。


【受験生応援2018】センター成功談 アクシデントがあっても引きずらず

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 センター試験まであと5日。東大新聞オンラインでは、東大2次試験まで受験生応援連載を展開していきます。今回は、センター試験で思い通りの結果を残すことができた現役東大生の声を紹介します。


 今回はセンター試験で目標点を達成することができた記者が、センター前にどのような時間の使い方をしていたのかをお伝えします。1週間前・2、3日前・センター試験1日目・2日目に分けて紹介します。

 

 センター1週間前からは参考書で新しい知識を詰め込むのではなく、過去問をひたすら解きました。直前期はいかに今持っている力を本番で正確に発揮できるかが大切なので、形式に慣れる練習をした方が効率よく得点につなげることができると思います。

 

 直前の2、3日前には学校で希望者が購入できる予備校作成のセンター試験予想問題パックを買って本番の試験と同じ順番で解きました。本番の時間に合わせて解くのが理想ですが、時間がもったいないので記者は早く解き終わったら時間を繰り上げました。

 

 センターの2日前には当日電車に乗る時間に合わせて試験会場に下見に行きました。人は初めて訪れた場所では緊張してしまうので、下見するだけでも余計な緊張をほぐすことができます。また、電車の乗り換えを確認でき、気分転換にもなるのでおすすめです。

 

 センター1日目は、地理の時間に地理Bを解くべきところを、20分ほど地理Aを解いてしまいましたが、幸いすぐに切り替えることができました。アクシデントがあっても引きずらずに素早く切り替えることが大切です。また、1日目終了後、絶対に解答速報を見て自己採点しないようにしました。やりたくなるとは思いますが、もし失敗したと分かったときに2日目を万全の状態で受けることができなくなるので我慢すべきです。2日目は苦手な数学がありましたが、過去問をやり込み頻出問題を確実に押さえたおかげで大きな失敗もなく終えることができました。

 

 その他に気を付けたこととしては、昼食の内容と休み時間の過ごし方があります。記者は昼食を多く食べると眠くなってしまうので、少量で済むカロリーメイトのような食品を持って行きました。また、休み時間はお手洗いに行く必要がないときでも必ず教室から出てリフレッシュしました。教室は大抵暖房が効いていて空気がよどんでいるので、ずっといると頭が働かなくなります。廊下の冷たい空気に触れるだけでも効果があると思います。

 

 センター試験当日まであと少しですが、受験生の皆さんが実力を発揮できますように。応援しています。

(文Ⅲ・1年)

 

 

【受験生応援2018】

センター成功談 アクシデントがあっても引きずらず

センター失敗談 悩む問題を後回しにしておけば……

【受験生応援2018】センター成功談 アクシデントがあっても引きずらず東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【受験生応援2018】センター失敗談 悩む問題を後回しにしておけば……

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 センター試験まであと4日。東大新聞オンラインでは、東大2次試験まで受験生応援連載を展開していきます。今回は、センター試験で思い通りの結果を残すことができなかった現役東大生の声を紹介します。


 今回は記者自身が経験したセンター試験での失敗を踏まえて、反省点や後悔している点をお伝えします。受験生はこの記事を参考にして、同じ失敗を犯さないよう注意してください。

 

 まずセンター試験直前の勉強法についてです。過去問演習をするのはもちろんですが、ポイントは、時間を区切って悩む問題を後回しにする勇気をつけること。特に国語と数学は時間に余裕がない上、時間が足りなくなると非常に焦ります。記者は本番で現代文の長文選択肢に悩み過ぎ、古文を15分前後で解く羽目に。急いだあまり古文の内容がなかなか頭に入ってきませんでした。悩む問題を飛ばすのに慣れておけばこのような事態は防げたと思います。

 

 加えて、古文漢文の語句問題や数学の公式を使うだけの問題など、基本的な知識問題を速く解き、差がつく思考力を試す問題に時間を割けるようにしましょう。本番の数学では整数とベクトルの問題の前半で時間を取ってしまい、最後まで解けなかった記憶があります。もっと素早く知識を引き出す訓練をしておくべきでした。

 

 次に試験当日についてです。地歴の試験中、隣の人が問題冊子をめくる音が気になりました。しかし冷静に考えれば、センター試験で隣になった人が自分と同じ東大志望でかつ同じ科類に出願予定というのはまれなケース。競争相手とは限らない周囲の人には気を取られないようにしましょう。また当日の昼食は軽く済ませることをお勧めします。実際、普通の量の昼食を取ったところ1日目午後の英語の試験で眠くなってしまいました。

 

 そして忘れてはならないのが試験後。センター試験の結果が思い通りでなくても、終わった後は2次試験対策に専念すべきです。記者自身はセンター試験対策模試での判定が良かったこともあり、本番の得点率が85%だと知った時は現実を受け入れられませんでした。しかし模試と本番は別物。そしてセンター試験の配点は550点満点中110点にとどまり、第1段階選抜さえクリアすれば2次試験次第です。結果の良しあしにかかわらず、センター試験直後に気持ちを切り替えましょう。

 

 最後に、受験生の皆さんの健闘をお祈りします。本番では全力を出し切ってください。

(文I・1年)

 

 

【受験生応援2018】

センター成功談 アクシデントがあっても引きずらず

センター失敗談 悩む問題を後回しにしておけば……

【受験生応援2018】センター失敗談 悩む問題を後回しにしておけば……東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【受験生応援2018】現役東大生は試験前日と当日をどう過ごしたの?

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 センター試験まで残りわずかになり、2次試験も近づいてきました。今回は、入試を経験した現役東大生が、試験前日や当日の過ごし方、試験に持っていくと便利なものを紹介します。


 試験前日の過ごし方

 

「ホテルから大学まで歩き、会場の建物を確認した。2次試験前日の駒場キャンパスの場合、正門で試験当日に役立つパンフレットをさまざまな団体が配布しているのでもらっておくと役立つだろう。昼食を買うためのコンビニや夕食を取るレストランなども、併せて目星を付けておくと安心」(文Ⅲ・1年)

 

「頭のキレが鈍るのを恐れて、模試の過去問を用いて数学を本番と同じ条件で解いていた。全然解けなかったら逆に不安が高まってしまうので、易しめの問題を使うのが良い」(文Ⅰ・2年)

 

「あまり勉強はしない予定だったが、結局いつもと同じくらい勉強してしまった。勉強し過ぎるのもし過ぎないのも不安をあおるので、いつも通りが一番良いと思う。暗記科目を中心に復習したが、できないと不安になるのは事実なので確認程度にするのが良い」(法・3年)

 

「新しい知識を詰め込もうとせず、すでに十分理解できている内容を再確認した。直前でいろいろな参考書に目を通して、知識が不十分な部分を見つけると焦ってしまう。今持っている知識を復習でさらに補強することで自信が湧き、精神的に前向きになれた」(文Ⅲ・1年)

 

「今まで使ってきた単語帳や参考書に一通り目を通した。時間を浪費しないよう、読むというよりは文字を追うという意識を持って次々とページをめくるのがポイント。目に入った部分で不安な箇所だけを再度調べて、知識の抜けがないようにした」(文Ⅲ・1年)

 

「過去問演習で間違ったものを見直し、世界史の教科書を読んで重要知識を確認した。新たに分からないことが出てくると不安になるため、新しい参考書や問題に手を出すことは避けた」(文Ⅰ・1年)

 

「分からない箇所が出てきて不安にならないよう何度も解いた問題を復習するだけにした。試験前夜にちゃんと眠れるよう、前日の朝はいつもより1時間早く起きた」(文Ⅰ・2年)

 

「不安な分野の見直しをする程度で、とにかく睡眠時間を確保した。緊張でなかなか眠れなかったが、目を閉じているだけでもリラックスできると思う」(文Ⅲ・1年)

 

「11時半には勉強を切り上げて荷物や電車の確認をすること。いまさらジタバタしてもしょうがないので、寝不足にならないよう12時までには寝よう」(文Ⅲ・1年)

 

試験当日の過ごし方

 

「朝は開門時間よりも早めに試験会場に到着するように移動するといい。電車もトイレもまだ空いているし、早めに教室に入ることで気持ちにも余裕が生まれる。逆に、すでに多くの受験生で埋まっている教室に後から入るのは、何となく緊張してしまう」(文Ⅲ・1年)

 

「試験会場までの移動時間は、自分がスポーツの試合前にいつもしていたように、激しい曲を聞いて闘争心を高めた。スポーツ経験のある人は、『一発勝負』という点で入試と共通するその経験を生かしてみてもいいかもしれない」(文Ⅰ・2年)

 

「教室は暖房が効いており人も多いので、空気が悪い。頭の回転を良くし気分をリフレッシュするためにも、休み時間は少しでも外の空気を吸うようにした」(文Ⅲ・1年)

 

「休み時間は次の試験のことをイメージして頭を慣らした。そうすることで試験開始の合図とともに問題に集中できる。終わった試験の出来については考えないようにした」(文Ⅰ・1年)

 

「試験開始から5分は、時間を気にせずじっくり丁寧に問題を解いた。そうすることで、緊張で浮ついていた心を落ち着かせケアレスミスを防ぐことができた。問題が解けなくても、深呼吸をすることで焦りを抑えた」(文Ⅱ・1年)

 

「周りのことは気にせず、最も集中できる状態で試験を受けることが大事。試験直前にトイレに行きたくなるなど、困ったことがあったら遠慮なく試験監督を呼んで相談しよう」(文Ⅲ・2年)

 

「何の失敗もなく全試験を終えられる受験生などほとんどいないはず。多少出来が悪い教科があっても『どうせみんなできていない』『完璧が要求されているわけではない』などと考えるようにしよう。ポジティブに試験を受けられるかどうかが案外合否を左右する」(文Ⅲ・1年)

 

「その場にいる人間の中で自分が一番だ、というぐらいの強い気持ちを持つことが大事」(文Ⅲ・1年)

 

「試験当日はどうしても周りの人の様子が気になってしまったが、音楽を聞いて自分の世界に没頭することで集中力を高めた。周りの人が自分よりできるように見えるかもしれないが、最後まで自分の力を信じることが大切だと思う」(文Ⅲ・1年)

 

「できない科目があっても『難化しているはずだ』と思い込むのが良いと思う。難易度の感覚は本当に人それぞれなので周りの会話を一切聞かないようにし、1日目終了後は他の受験生と一緒になるのを避けて別のルートで帰宅した」(法・3年)

 

「解けない問題があっても『だったら他にどれが解けるのか』を考え、どんどん他の問題を解くようにした(実際、早大で英語の大問を一つ捨て、東大で世界史第1問を捨てたが、他の問題をどんどん解いたおかげで合格点に達した)」(文Ⅰ・2年)

 

持っていくと便利なもの

 

「解き方マニュアル」(文Ⅱ・1年)

 模試や過去問演習で得た経験を生かし、それぞれの科目の問題を解く上での手順や注意点を自分なりに紙にまとめたもの。試験前に読み、緊張する中これに沿って試験に挑むことで、地に足をつけて問題を解くことができた。

 

「使い古した参考書」(文Ⅲ・1年)

 受験生活で最も愛用した参考書を一冊、お守り代わりに持っていこう。これまで勉強にかけてきた時間と努力は、100%揺るがないもの。試験前に見返すだけで不安を和らげてくれる、心強い味方になるだろう。

 

「使い捨てカイロ」(文Ⅰ・1年)

 朝の寒さは受験生の敵。これを持っていけば冷えがちな指先も温められ、手のかじかみを防ぐことができる。試験中は、かばんにしまえる貼らないタイプが便利だと思う。

 

「体調管理グッズ」(文Ⅲ・1年)

 風邪をひいた受験生もいるので、マスクがあると良い。暖房が効きすぎている場合もあるので、体温調節のしやすい服装をすることも重要。勉強道具も大事だが、まずは試験に集中できるコンディション作りをしよう。

 

「チョコレート」(文Ⅲ・1年)

 試験1日目に食べている人を見かけてうらやましかったので、2日目は買って行った。気分転換に効果的で、力が湧いてくるような気がする。

 

「おにぎり」(文Ⅲ・1年)

 片手で食べられるので、もう片方の手で参考書をめくれる。午前の科目が終わって何も口にしたくないほど落ち込んだとしても、おにぎりは比較的口に運びやすく、最低限の栄養は補給した上で午後の科目に臨める。

 

「音楽再生機器」(文Ⅲ・1年)

 普段から音楽を聞きながら勉強していたので、少しでも普段通りの力を出すために持ち込んだ。休憩時間もキャンパスを散歩しながら好きな音楽を聞いていた。


 試験本番に努力の成果を発揮することも、受験勉強と同じくらい合格に向けて大切なことです。頑張ってきた自分を誇りに思いつつ、落ち着いて最後までやり抜きましょう!

 

 

【受験生応援2018】

センター成功談 アクシデントがあっても引きずらず

センター失敗談 悩む問題を後回しにしておけば……

現役東大生は試験前日と当日をどう過ごしたの?

【受験生応援2018】現役東大生は試験前日と当日をどう過ごしたの?東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【受験生応援2018】現役東大生は試験本番に向けてどう体調管理をしたの?

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 センター試験・2次試験前のこの時期、受験生のみなさんは少しの時間も惜しんで勉強に励んでいることと思います。しかし、受験直前に風邪をひいてしまったり、睡眠不足で頭がもうろうとしてしまったりと、その頑張りが裏目に出てしまってはもったいないですよね。そこで、体調が万全の状態で試験本番を迎えるには、どのようなことに注意して過ごせば良いのか、現役東大生である東大新聞の編集部員からアドバイスをもらいました。


「私は、試験前の1週間は学校に行きませんでした。なぜなら、試験前にインフルエンザなどの病気に感染してしまうと、本番で実力を発揮できないからです。その代わりただ家に引きこもるのではなく、気分転換に外で散歩をしていました。試験直前は何よりも自分の健康を優先して、無理しすぎないようにして下さい」(文Ⅱ・1年)

 

「規則正しい生活を心がけよう。休日も朝6時に起き、夜は必ず11時頃に寝た。朝方のリズムを確立すれば、朝早い試験本番でも頭が回り一石二鳥だ。風邪予防も試験対策の一つ。生活リズムの乱れを改善して免疫力を挙げよう」(文Ⅲ・1年)

 

「夜は12時には寝て生活リズムを整えましょう。寝付けない時は、いつも使う英単語帳や教科書を読むことをお勧めします。気がつくと気分が落ち着いて眠くなっているはずです。試験当日、受験生の皆さんが全力を発揮できるよう願っています」(文Ⅰ・1年)

 

「睡眠時間は長めに、最低6時間確保しましょう。その分起きている時間にするべきことがより明確になり、勉強の効率も上がります。休憩もこまめに取りましょう。その際ホットドリンクを飲むと落ち着き、風邪の予防にもなります。勉強し過ぎて体調を崩さないよう、気を付けて頑張ってください」(文Ⅲ・1年)

 

「遅くまで勉強してもいいことはありません。早寝早起きが一番です。暖かくして寝ましょう。風邪を引いたかな、と思っても気にせずに水分を多く取りましょう。『病は気から』という言葉は本当だと思います。気持ちで負けることのないよう頑張ってください」(文Ⅲ・1年)

 

「試験当日の体調を最高のものにするために、直前期は睡眠時間をこれまで以上に確保しました。当日は長丁場の試験で集中を保つため、こまめに糖分を取ることを心がけました。チョコレートといった手軽に糖分を取れるものは是非持っていきましょう。皆さんの努力が少しでも報われることを祈ります」(文Ⅲ・1年)

 

「暖房に頼りがちですが、加湿器や濡れマスクで湿度を保つことも大切。喉の痛みやウイルスの感染を防げます。受験前日の夜、夜通し加湿器をつけたままでホテルの部屋がサウナ状態になってしまったことは今では良い思い出です」(文Ⅰ・1年)

 

「何かと難しい体調管理ですが、体調の悪化は物理的な原因によるものと心因性のものに大別されます。外出時にはマスクをするなどウイルスを絶対に取り込まないようにすると同時に、定期的に勉強場所を変えるなどメンタルヘルスにも気を配るとより良いと思います。寒いですがもう少しで春が来るので頑張ってください」(法・3年)

 

「受験で一番大切なのは、当日に自分の力を出し切ること。体調を崩しては意味がありません。直前は何かと不安になるものですが、前日に単語を1個覚えることより、当日に集中して問題に向き合えるよう体調を整えることの方が大事です。睡眠時間をしっかり取って、心身共に万全の状態で試験に臨みましょう」(文Ⅲ・2年)

 

「適切な就寝時間と起床時間を定めること、いわゆる早寝早起きをお勧めします。日中眠くならない程度の睡眠時間を確保すれば体調を崩すリスクは減りますし、生活リズムが整って精神的に落ち着くこともできます。加えて朝から活動する癖を付ければ、朝の早い試験当日も頭がしっかり働きます。入試を終えて、またぐうたら寝られることを楽しみに頑張りましょう」(文Ⅰ・2年)

 

「緊張しやすい人は自分なりに安心感を得る方法を模索してみるといいかもしれません。受験当日、緊張で腹を壊しやすい私は整腸剤の新ビオフェルミンSを朝食の後に飲んでから試験に向かいました。実際に薬が効くかどうかはともかく、飲んでいるという安心感だけでだいぶ気分が楽だったのを覚えています。当日が近づいてきたら、本番で本来の力を発揮できるよう意識しましょう」(文Ⅲ・1年)

 

「手洗い・うがい・マスクは毎日欠かさず行って(つけて)いました。ただ体調を崩してもなんとかなる人はいるので、一番大事なのは気持ちの健康管理かもしれません。もうひと踏ん張り、がんばってください」(文・3年)

 

「長時間の勉強で凝った体を、簡単なストレッチでほぐすとよいです。朝起きてすぐのときや勉強の合間に体操をすると、憂鬱で緊張した気持ちも少しはほぐれますよ。先の見えない不安は大きいと思いますが、自分をだましだましでもいいから、つらいこの時期を乗り越えていきましょう。応援しています」(文Ⅲ・1年)


 受験直前のこの時期は、大きな不安と緊張を誰もが抱いています。だからこそ、体調を健全に保ち、精神に余計な負担を掛けないことは大事です。しっかり体調管理をして、今から少しでも安心材料を増やしていきましょう。最高とまで言わずとも、いつも通りのコンディションで本番を迎えられるよう、編集部員一同、心からお祈りしています。

 

 

【受験生応援2018】

センター成功談 アクシデントがあっても引きずらず

センター失敗談 悩む問題を後回しにしておけば……

現役東大生は試験前日と当日をどう過ごしたの?

現役東大生は試験本番に向けてどう体調管理をしたの?

【受験生応援2018】現役東大生は試験本番に向けてどう体調管理をしたの?東大新聞オンラインで公開された投稿です。

日本のITの未来を担うか ハッカソンイベント「HACKER WARS」レポート

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 今後、深刻なIT人材不足に陥ることが見込まれている日本。

 

 2020年に小学校でのプログラミング教育が必修化されるなど、政府も対策を急ぐ。すでに小学生向けのプログラミング塾も多数のサービスが出て来ている。そんな中、プログラミングに関わる大学生の間で人気になっているのが、「短期間で集まったチームで協力してコーディングを行う」ハッカソンである。

 

 今回取材で訪れたスローガン社が主催するハッカソン「HACER WARS」も、「応募多数で選考があった」ほどであるという。ハッカソンの多くは企業がアイデアを募集するために開催されることが多い(三菱東京UFJ銀行主催VRハッカソンなど)。

 

 HACER WARSはエンジニア志望の学生にアウトプットの場の提供と、IT企業へのインターンにつなげることが目的として開催されている。第5回の今回は10チーム44人が参加し、そのうち9人が女性であった。チームは大学やインターン先が同じ友人でのチームエントリーもあれば、個人参加でその場でチームを結成した組もある。2日間の日程のうち、初日にテーマが発表される。今回のテーマは「『働く』の未来を考える」。初日にブレインストーミング等でアイデアを出し、開発したあと2日目夕方のデモを迎える。

 

 

 優勝したのは、早稲田大学基幹理工学部のメンバーで結成されたチームが作った「WorksPotter」というフリーランス向け仕事マッチングサービス。コンセプトは「時給は実力で勝ち取れ」。自分の能力の可視化として「コーディング」「体力」などのパラメーターが設定され、グラフ化されていることが特徴だ。仕事をこなすと発注側から評価を受け、それが経験値のようにたまっていく。この「スキルのレーティング化」により、短期の仕事でも継続すれば評価がたまっていき、そのレーティングを元に新しい仕事が探していくことができるというサービスになっている。同一の仕事でも、レーティングの高い人ほど高い時給が提示されるようになっていることで、働くモチベーションを与えることができる点も特徴だ。リーダーの中川陽太さんは「普段はいかに機能を実装するかということにフォーカスしていることが多いので、丸々2日間、サービスの意義からその実装までの全てのフェーズについて考えるのは非常にいい経験になりました。他の大学のエンジニア志望の学生と話せたのも良かったです」と話していた。

 

 審査に入ったCarat社によるCarat賞を受けたのが、「JobHub」というサービス。何かITサービスを作ろうとしている人が、エンジニアに質問をしながら、あるいは部分的なコーディングを依頼しながらサービスを作っていくことができる。完全なプロダクトとしてのみならず、プロダクトの基盤部分や独立した一機能の実装であればサービスの詳細を公開することなく発注もでき、起業したい人が重宝するという。エンジニアにとっては、プロダクトの一部の制作を請け負い、実力を付けながら稼ぐことができる。

 

 

 同じく審査に入ったBizteX社からBizteX賞を受けたのが、VRを利用した「忙しさの可視化アプリ」こと「Task baloon」。Googleカレンダーに記入してある各自のタスクから、忙しさを可視化し、チーム内での仕事振りに生かすのが目的だ。メンバーそれぞれに絵などのロゴを割り当て、それを画像認識するとVRとしてバルーンにタスクが表示される。キャッチーなUIが会場を沸かせた。チームリーダーの高橋賢さん(東京工業大学)は、「いずれは顔を見るだけで、その人の趣味や忙しさが分かるようになる時代が来ると思う」と未来像を語っていた。

 

 

 主催であるスローガン社からスローガン賞を得たのは、女性だけで結成されたF-girlsチーム。同じ会社でアルバイトをしている女性だけで結成されたチームだ。作ったのは「働く人のやる気を高めるサービス」である「てくてくハリ坊」。女性らしい感性を生かした可愛らしいUIが特徴だ。解決を目指したのは、仕事で怒られたり褒められたりした際の気持ちをSNSでつぶやけない、という課題。デスクトップにあるかわいいハリネズミ(ハリ坊)に「遅刻して怒られた〜!」「仕事で褒められたよ〜!」などと話し掛ける。「疲れた」と呟くと「ここで休憩を挟みませんか?」と返してくれるなど、インタラクション性が特徴だ。遅刻を繰り返すと「また遅刻したの?」と返し、しばらく遅刻をしないと「最近遅刻しなくなったね!」と、仕事での成長を共にしてくれるサービスとなっている。Googleカレンダーを参照して、予定も通知してくれる。デモ中にファンシーな音楽を流すなど、会場を和ませていた。参加メンバーは「作品のハリ坊をみんなにかわいがってもらえてうれしい」「HACKER WARSは3回目の参加。三度目の正直として、賞がもらえてうれしい」と話していた。

 

 

 

 スローガン社の木村圭佑さんは「以前はデモまで至れないチームもあったが、今回は全チームがデモできました。学生の全体的なレベルが上がってきていると思います。開発ツールで便利なものが増えて、簡単なプロトタイプはすぐに作れるようになって来たという開発環境の向上も背景にあります。今回はアイデアが良いチームが多かったですね」と言う。

 

 

 スローガン社は、学生エンジニアの長期インターンのラインナップもそろえている。

 

 卒業後の進路を考えるためにも、エンジニアに関心がある方は、一度学生向けハッカソンに参加してみてはいかがだろうか。

日本のITの未来を担うか ハッカソンイベント「HACKER WARS」レポート東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【2017年12月アクセスランキング】東大生のSNS事情に高い関心

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日本版NCAA構想のイメージ(上)と法政大学との一戦で勝ち点を挙げ笑みをこぼす宮台康平投手(法・4年)(左下)、ミス日本ファイナリストに選ばれた岡部さん

 

 東大新聞オンラインで12月に公開した記事の12月中のアクセスランキングを調べたところ、1位は東大生のSNS利用に関する記事だった。ツイッター、フェイスブック、インスタグラムに焦点を当て、それぞれの魅力や利用目的、使う上での気楽さの違いについて東大生に取材。あえてSNSを使わない学生からはSNSへ拘束や過度な熱中を懸念する声が聞かれた。

 

 2位には米国のNCAA(全米大学体育協会)に倣い、日本で大学スポーツを一元的に管理し運営支援を行う構想が進んでいることを伝える記事。共通の安全基準や学業成績要件を設けることで、安全性の確保や学業との両立支援などの効果が期待されるという。

 

 3位には東大生の恋愛事情に関する記事。「恋愛結婚学研究所」所長の新上幸二さんによれば、恋愛上手になる秘訣(ひけつ)は「経験を積むこと」で、失敗を恐れず恋愛に積極的に挑むよう東大生へのエールを送った。

 

 4位は、大学対抗で女子大生アイドル日本一を決める大会「UNIDOL」にて「東大CHOCO=CROW」が決勝大会進出を果たしたことを伝える記事。関東予選では、曲ごとに衣装を替えるなどこだわりのパフォーマンスを披露した。決勝大会は2月に開催される。

 

 5位にはQSアジア大学ランキング発表の記事が入った。東大は学術面で高評価を受ける一方、他のアジアの大学に比べ、留学生の少なさなど国際化の面で課題が目立つ。

 

 6、9位にはスポーツの話題がランクイン。6位の硬式野球部の記事では、秋季リーグで20年ぶりに単独最下位脱出を遂げた要因について「チーム一丸となったこと」と浜田一志監督がコメントした。9位はアメリカンフットボール部がリーグ最終戦に敗れたことを伝える記事。リーグ4位に終わった東大はTOP8昇格のチャンスを逃し、森清之ヘッドコーチと遠藤翔主将(経・4年)は悔しさをにじませつつチームの改善点を語った。

 

 7位にはミス日本ファイナリストに岡部七子さん(理Ⅱ・1年)が選ばれたことを伝える記事。出場に踏み切った理由として幅広い教養を身に付けたいという思いを語り、本戦に向けての意気込みを述べた。

 

 8位は推薦入試第1次選考の結果を伝える記事。1次選考で書類審査を突破した135人は面接、センター試験を経て2月の最終合格を目指す。

 

【2017年12月アクセスランキング】

1            魅力を知れば世界が広がる 東大生に聞く「3大SNS」それぞれの使い方とは

2            大学スポーツの安全性・財源強化へ 日本版NCAA構想に迫る

3            東大生の恋愛事情とは? 専門家が東大生にアドバイス 失敗重ねて恋愛上手に

4            アイドルコピーダンスユニット「東大CHOCO=CROW」が関東予選を突破

5            QSアジア大学ランキング発表 東大は昨年同様13位

6            硬式野球部はなぜ勝ち点を取れたのか? 監督・選手の話で振り返る秋季リーグ戦

7            「最後まで自分らしく」 ミス日本ファイナリストに理II・1年の岡部七子さん

8            推薦入試第1次選考 微増の135人合格 医・健総では初の合格者なし

9            アメフト 最終戦敗れ4位で閉幕 4連勝後に3連敗でチャレンジマッチならず

10          国立大学法人評価 一部項目に低評価 論文不正など響く

 

※当該期間に公開した記事のみを集計

 

過去のランキング

【2017年アクセスランキング】まつりさんの記事が今年の年間1位に

【2017年11月アクセスランキング】東大生の「銀行志向」に関心

【2017年10月アクセスランキング】「ボカロ」関連の記事が人気

【2017年9月アクセスランキング】哲学者の勉強論に高い関心

【2017年8月アクセスランキング】「駒場図書館冷房停止」が1位

【2017年7月アクセスランキング】宮台教授のメッセージに注目

【2017年6月アクセスランキング】「N高」に注目 論文不正問題に依然高い関心

【2017年5月アクセスランキング】高橋まつりさん関連記事に大きな注目

【2017年4月アクセスランキング】今年も新入生アンケートに高い関心

【2017年3月アクセスランキング】トップは東大生のテレビ 合格発表の記事も上位に

【2017年2月アクセスランキング】東大女子の座談会特集、入試関連記事に注目

【2017年1月アクセスランキング】1位はブラックラボ検証 受験関連記事も人気

【2017年12月アクセスランキング】東大生のSNS事情に高い関心東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【受験生応援2018】受験生に代わって絵馬を奉納!

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 東京大学新聞社では、2次試験を控えた受験生の皆さんを応援するため、湯島天満宮に編集部特製の絵馬を奉納する予定です。絵馬へのお名前の掲載希望や、意気込み・応援メッセージを下記の通り募集しています。なお奉納の様子は、2次試験当日受験会場で受験生に配布する号外『受験生応援号』に掲載します。

■応募資格:東大2次試験を受験する方、受験生を応援している方

■応募方法:リンクより、表示されるグーグルフォームからご応募ください。

■締め切り:1月31日(水)

■費用:無料

■URL:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdboYgRY02AZK-bF2BLBzh0EVFXJqZ33P-9OzY1lTxfXnZxjA/viewform

 

 

【受験生応援2018】

センター成功談 アクシデントがあっても引きずらず

センター失敗談 悩む問題を後回しにしておけば……

現役東大生は試験前日と当日をどう過ごしたの?

現役東大生は試験本番に向けてどう体調管理をしたの?

東大教授が語る2次試験の意味 「知識ではなく考える力を試す」

受験生に代わって絵馬を奉納!

【受験生応援2018】受験生に代わって絵馬を奉納!東大新聞オンラインで公開された投稿です。


【世界というキャンパスで】額田裕己さん⑤ コバルトブルーの旅路を行く

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 ニュージーランドをバックパック一つで北上する旅は続いている。

 

 世界遺産となっているマウントクック国立公園では登山に挑んだ。とは言っても半袖短パンで踏破できるレベルのトレッキングコースであるが。また、美しい星空で有名なテカポ湖も訪れた。僕が滞在した3日間はいずれも曇天で天体観測はできなかったが、コバルトブルーが美しいテカポ湖を拝むことができた。

 

天体観測で有名なテカポ湖(写真は額田さん提供)

 

 南島で最後に訪れたネイピアは常夏の気候で、雨がほとんど降らず毎日晴れている。寒い山岳地帯を経てこの街に来た僕には天国である。この街で、僕はドイツ人の男女2人組と友達になった。超がつくほどの高身長の男性と、すぐにどこかに消えてしまう自由人女性の2人組である。ホステルで話しかけられたのがきっかけで意気投合し、一緒に街歩きなどしているうちに、もっと遠くへ行こうという話になった。それでやってきたのが南島最北端にあるエイベル・タスマン国立公園である。その多様な生態系と美しい海、トレッキングコースで有名なこの地は、実は語学学校を卒業する時、担任の先生にぜひ行けとオススメされた場所なのだ。トレッキングコースをドイツ人の彼と延々と歩きながら(彼女の方はやはり一人でどこかに行ってしまったので放っておいた)、僕らはいろいろな話をした。ドイツビールのこと、世界情勢のこと、ビールのこと、お互いの文化のこと、ビールのこと(ドイツ人は皆ビールが好きだった)。そうしているうちに山あいの道を抜け、海岸沿いに出た。その海は想像にたがわぬ美しさだった。黄金の砂とコバルトブルーの海、南国のビーチとしてイメージする海まさにそのものである。いつのまにか到着していたドイツ人の彼女とも合流し、僕らはしばらくその景色を満喫した。

 

 ネイピアに戻った僕らは、それぞれの目的地に向かうため別れた。彼らはニュージーランド北島からやってきて、最南端まで行くという。僕と正反対の旅程である。またどこかで会うことを約束し、僕は北島に渡るために、ピクトンという港町に移動してそこからフェリーに乗った。北島と南島の間にはクック海峡が横たわっており、二島間の移動はフェリーか飛行機である。飛行機は使いたくなかった。あくまで陸路を地続きで行くことにこの旅の意味があるように思えた。

 

 鈍行フェリーに揺られて3時間、僕は北島最南端の都市、首都のウェリントンに降り立った。ここはオークランドと並ぶニュージーランドきっての大都会である。オークランドと違うのは、人が少ないところか。閑静で落ち着いた都市である。しかし3、4日と過ごしているうちに、僕はウェリントンに飽きてしまった。都会であるこの街でできることで、東京でできないことはない、そんな気がしてしまったのだ。

 

 そこで僕は早急にウェリントンをたつことにした。行き先はタウポ、以前に僕がここの地域スポーツクラブへの参加を交渉し、快諾をもらった場所である。ここならニュージーランドでしかできない体験ができそうだ。僕はバスを乗り継ぎ、タウポへ向かった。

 

(寄稿)=続く

 

【世界というキャンパスで】額田裕己さ

【世界というキャンパスで】額田裕己さん⑤ コバルトブルーの旅路を行く

【世界というキャンパスで】額田裕己さん④ 住民の結束力に感化

【世界というキャンパスで】額田裕己さん③ 絶景を背にして湖畔を快走

【世界というキャンパスで】額田裕己さん② 英語力と自信つかむ

【世界というキャンパスで】額田裕己さん① 大自然での一人旅へ


 この記事は、2018年1月16日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

ニュース:「進学先決めず入学」が半数超 学生生活実態調査 7割がカリキュラム改革要望
ニュース:日本学術振興会賞 東大から4人受賞 人社1人と理工3人に
ニュース:UTASで緊急メンテナンス OSの管理機能に障害 
ニュース:2競技を終え5位 七大戦 次は3/1からの航空
ニュース:近藤選手箱根出走せず インフルで無念の欠場
ニュース:近藤選手や宮投手らが登壇 スポーツ先端研シンポジウム
ニュース:視認性と景観を両立 新型点字ブロック 車輪の通過も容易に
ニュース:最古の首長竜を発見 首長竜は三畳紀から生存か
ニュース:論文不正追加調査 告発5報以外不正なし 分生研は組織見直し
ニュース:理・阿部豊准教授が死去 ALSと闘い研究続ける
企画:持続可能な社会の先へ 東大発の講座から「プラチナ社会」に迫る
企画:ペットブームの光と闇 相利共生で心身を健康に
推薦の素顔:鈴木光さん(文Ⅰ・1年→法学部)
東大新聞オンラインアクセスランキング:2017年12月 東大生のSNS事情に高い関心
東大教員の豆知識:吉種光助教(理学系研究科)体内時計 時計遺伝子が鍵握る
東大今昔物語:1989年1月31日発行号より 時と共に変わる入試 共通1次の終幕  
世界というキャンパスで:額田裕己さん(文Ⅲ・1年)ニュージーランド編⑤
キャンパスガール:築島綾音さん(文Ⅰ・2年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

【世界というキャンパスで】額田裕己さん⑤ コバルトブルーの旅路を行く東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【2017年アクセスランキング】まつりさんの記事が今年の年間1位に

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(右上から反時計回りに)高橋まつりさんの母幸美さんと川人弁護士、16年度卒業・修了者就職先上位一覧、ブラックラボ連載初回記事に掲載されたイメージ画像、社会学者の宮台真司教授

 

 東大新聞オンラインで2017年に公開した記事の17年1月1日~12月31日のアクセス数を調べたところ、1位は東大OGで電通に入社後過労死した高橋まつりさんに関する記事だった。努力家とされたまつりさんが望んで電通に入社した後、追い詰められ自殺するまでの経緯が、まつりさんの大学時代の友人や母親の幸美さんへの取材で明らかになる。記事は「まつりさんの死は人ごとか」との見出しの通り、まつりさんの電通入社前の自信とその後の変化を対比し、過労死を人ごとと捉える東大の就活生に警鐘を鳴らす。事件の遺族代理人である川人博弁護士にも話を聞き、過労死問題の根深さを訴える声を紹介。事件への社会的な関心の高さから大きな注目を集めた。

 

 2位にランクインしたのは、16年度の東大の学部卒業生、大学院修了生の就職先を報じた記事。学部卒業生の就職先はトップ3をメガバンク3行が占め、過労死事件にも関わらず電通が就職者数10位に上昇するといった特徴が見られた。一方、トヨタ自動車が最多だった大学院修了者の就職先では、15年度からのランキング上位の入れ替わりが激しい。4位には東大生の銀行就職が多い理由を考察した記事もランクインしており、東大生の就職事情への高い関心がうかがえる。

 

 3位に入ったのは、ブラックラボについての連載初回記事だった。ブラックラボとは、拘束時間が長くハラスメントがあるブラック企業の研究室版を指す。この記事では指導教官が厳しいとあるバイオ系の研究室での実例について匿名の卒業生に取材。予備実験やマニュアル作りばかりを要求され、なかなか卒業論文や修士論文のための本実験を行えなかった内実を克明に描く。「ブラック」という昨今話題のテーマと、東大の研究室の内情という題材が注目を集めたようだ。

 

 5位には、東大OBの社会学者、宮台真司教授(首都大学東京)へのインタビュー記事がランクイン。宮台教授は「法は破るためにある」と説き、既存の考えに固執し「法外」を恐れるが故にヘイトがまん延する現代の「世直し」を主張。若者には自分に合うかどうかではなく自分がやりたいかどうかを基準に進路を決めてほしいと語った。

 

 6位はいまだに盛んな東大生のバラエティー番組出演について、実際にテレビに出た学生の見方を紹介する記事だった。記事では複数の学生が、番組が東大生の「頭の良さ」や「変人ぶり」を強調しようとすることを指摘。東大生が良くも悪くもコンテンツとして利用されている実情を明らかにした。

 

 7位に入ったのは東大新入生へのアンケート結果を報じた記事で、女子学生家賃支援の賛否や支持政党についての新入生の意見を伝えた。8位には東大女子の座談会報告記事が入った。日本ビジネスシステムズの副社長と東大OGの起業家を交えて行ったこの座談会では、女子の少ない環境に置かれる東大女子の悩みなどが話題に上がった。

 

 9位には千葉雅也准教授(立命館大学)へのインタビュー記事がランクイン。『勉強の哲学』を今年4月に刊行し話題をさらった気鋭の哲学者に、自身の受験の経緯や大学での学生生活、勉強とは何かについて聞いた。10位は東大で開かれている「障害者のリアルに迫るゼミ」への取材記事。このゼミでは、講師となる障害者が一切のタブーを抜きにして語るリアルな本音が学生の障害者像を壊すという。障害者と同様レッテルを貼られがちな東大生が、授業を通して多くの気付きを得る様子を伝えた。

 

【2017年11月アクセスランキング】

1       高橋まつりさんの死は人ごとか 東大OGの過労死を巡って

2       東大の16年度就職状況、三大銀行が上位独占 電通は倍増で学部10位

3       実験できない研究室【調査報道:ブラックラボとは何か①】

4       なぜ東大生は銀行へ? 過去のデータと志望学生の声から探る

5       「法外」を恐れるな 社会学者・宮台真司教授インタビュー

6       バラエティー番組の中の東大生 現役学生の視点から

7       東大新入生アンケート2017② 支持政党は自民36%、民進3.4% 無支持は4%減   

8       東大女子の座談会 ―私たちの悩みと理想の働き方―

9       千葉雅也准教授インタビュー・哲学者から見た受験勉強 勉強は知の人類史の継承

10     障害者は生き苦しい、東大生だって生き苦しい

※当該期間に公開した記事のみを集計

 

過去のランキング

【2017年11月アクセスランキング】東大生の「銀行志向」に関心

【2017年10月アクセスランキング】「ボカロ」関連の記事が人気

【2017年9月アクセスランキング】哲学者の勉強論に高い関心

【2017年8月アクセスランキング】「駒場図書館冷房停止」が1位

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【2017年6月アクセスランキング】「N高」に注目 論文不正問題に依然高い関心

【2017年5月アクセスランキング】高橋まつりさん関連記事に大きな注目

【2017年4月アクセスランキング】今年も新入生アンケートに高い関心

【2017年3月アクセスランキング】トップは東大生のテレビ 合格発表の記事も上位に

【2017年2月アクセスランキング】東大女子の座談会特集、入試関連記事に注目

【2017年1月アクセスランキング】1位はブラックラボ検証 受験関連記事も人気

【2016年アクセスランキング】東大新聞オンラインで今年1番読まれた記事は……?

【2017年アクセスランキング】まつりさんの記事が今年の年間1位に東大新聞オンラインで公開された投稿です。

スピンから見る平昌五輪「フィギュアスケート」の見どころ

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 2月9日から開催される平昌オリンピックに合わせ、東京大学運動会の各団体に競技の見どころについて執筆してもらいました。今回は「スケート部フィギュア部門」による寄稿です。

 

写真はスケート部フィギュア部門提供

 

 2018年の平昌オリンピックでは、フィギュアスケート競技として、男女シングル、アイスダンス、ペア、そしてそれらの総合力で競い合う団体の五つの競技が開催されます。どの種目もそれぞれ魅力的なのですが、今回は、男女シングルに焦点を当てて、見どころをご紹介します。

 

 シングルの競技では、ショートプログラム・フリープログラムの二つの演技を行います。二つのそれぞれの演技について、技術点と演技構成点の合計点からルール違反行為を減点してスコアを算出し、その合計によって勝敗を決定します。技術点は、実施したジャンプ、スピン、ステップなどについて、要素ごとに採点されます。フィギュアスケートの試合では成否がはっきりしているジャンプに注目が集まりがちですが、ここでは普段あまり取り上げられないスピンにスポットを当ててみたいと思います。

 スピンは、一定の場所で回転する技です。一つの試合では、ショートとフリーで三つずつのスピンを行うことができて、実施したスピンの種類と獲得したレベルによって決定される基礎点に、GOE(出来栄え点)を加減したものが得点となります。例えば、2014年のソチ五輪で優勝した日本の羽生結弦選手は、フリーの三つ目のスピンとして、足換えコンビネーションスピンに挑戦して、レベル3を獲得し、基礎点3.00にGOEとして0.64を加えた3.64点を獲得しました。

 

 スピンのレベルは、13のレベル要件のうち、その要件の定義に忠実に実施できた項目の個数によって決まります。五輪に出場する選手の多くは、最高難度のレベル4を獲得できるように、一つのスピンにつき最低でも四項目のレベル要件を満たせるスピンを準備しますが、実際に試合ですべてのレベルを認定してもらえるとは限りません。一見ミスのないスピンに見えても、実際にはレベルがとれていない、ということもあります。ソチ五輪の男子シングルでは演技中の三つすべてのスピンでレベル4を獲得できたのは、ショートで29人中3人、フリーで24人中2人だけで、優勝した羽生選手も、レベル3のスピンが二つありました。演技後のインタビューで「スピンでとりこぼしがあったのがよくなかった」とコメントしている選手がいますが、回転数や足の高さ、膝の曲げ具合などの細かい定義に従ってすべてのスピンで予定通りのレベルを獲得するのは、大変なことだということです。

 

 しかし、それでも最近はレベル4を揃える選手が増えてきていて、特に女子シングルではかなりの選手がレベル4を獲得してくるので、基礎点では差がつかなくなってきています。そのため、スピンが得意な選手は、GOEをより多く獲得できるように工夫しています。スピンのGOEは、スピンの回転の速さや安定性、ポジションの美しさに加えて、スピンの前後の動きや音楽との調和、オリジナリティーなども評価されます。

 では、ここからは平昌オリンピックでの活躍が注目されている選手のスピンをご紹介します。

 

 女子シングルの優勝候補の筆頭、ロシアのエフゲーニァ・メドヴェージェワ選手は、スピンも圧巻です。スムーズな回転に加えて、スピンの前後にも難しいステップを入れるなど、コントロールされた精緻なスピンが光ります。昨年12月のグランプリファイナルで優勝するなど、今季シニアに上がったばかりながら優勝候補に名乗りを上げた、同じくロシアのアリーナ・ザギトワ選手も、質の高いスピンをする選手です。イタリアのカロリーナ・コストナー選手は、長い手足を生かしたユニークなポジションのスピンが魅力です。特に、プログラムの最後に予定している手で膝を支えて後ろに持ち上げるスピンは、まるでオルゴールの人形のように優雅で素敵です。

 

 日本の選手に目を向けてみると、宮原知子選手は、ポジションを変えるときの移行がスムーズで、回転が速く軸がぶれないのが強みです。また、左右両方向への回転ができる非常に珍しい選手で、一つのスピンで両方向への回転をするコンビネーションスピンを得意としています。坂本花織選手は今シーズン、イリュージョンという上体から軸足でない方の足を一直線にして斜めに回転するスピンで何度かバランスを崩すシーンがありましたが、五輪では持ち味のパワフルさと勢いを生かして、スピンでも楽しませてくれるでしょう。

 

 男子シングルのカナダ代表、パトリック・チャン選手は、派手なバリエーションはあまり取り入れずに、基本的なポジションでの回転の美しさを生かした独特の構成のスピンが特徴です。特に、足を後ろにあげてTの字型で回転するキャメルスピンはとても洗練されていて、チャン選手の魅力が生かされています。スペインのハビエル・フェルナンデス選手は非常に質の高いスピンをする選手で、スピンに入るときに一度跳び上がり着地したら直立の姿勢で回転するフライング・アプライトスピンという珍しいスピンを取り入れています。高速な両足で回るクロスフット・スピンなど、短い時間に見どころが詰まった無駄のないスピンで、見る人の集中を切らさないテンポの良さも持っています。

 

 日本の羽生結弦選手は、ドーナツのように丸くなって回転するドーナツスピンなど、柔軟性を生かしたポジションの美しさに目がいきますが、曲にあわせて手を動かしたり、スピンの前後に動きを入れたりするなど、総合的な工夫が見られる選手です。股関節が柔らかいため、しゃがんだ姿勢で回転するシットスピンが得意で、一番好きなスピンなのだそうです。宇野昌磨選手は、スピン自体の質も高いですが、スピンの手の使い方にも宇野選手の色が入っていたり、ポジションの転換を曲にあわせて行ったりするなど、試合ごとに印象的な動きを加えて洗練させていくので、毎回ひきつけられます。田中刑事選手は、以前よりもスピンの回転が安定してきたので、オリンピックまでにさらに磨きをかけてくるでしょう。

 最近のフィギュアスケートのテレビ中継では、演技と同時に採点も放送されるようになりました。画面左上に表示されるアイコンによって、スピンのレベルやGOEなどの採点をリアルタイムで見ることができます。平昌オリンピックでは、スピンにも注目しながら、今までとは違う視点でフィギュアスケートを楽しんでみませんか。

 

東京大学運動会スケート部フィギュア部門

高松 未来

 

【団体のホームページ】

Facebook(https://ja-jp.facebook.com/ut.figureskatingclub/

フィギュアスケートは観るのも楽しいですが、やるのはもっと楽しいです! 東大スケート部には、小学生からフィギュアスケートをやっている部員もいますが、大学でフィギュアスケートを始めた部員も多く、大学始めの選手でも2回転ジャンプやレベル3のスピン、表現力豊かな演技ができる選手が何人もいます! フィギュアスケートに興味を持ったら、ぜひいつでもご連絡ください! 体験・入部、お持ちしています!!!

スピンから見る平昌五輪「フィギュアスケート」の見どころ東大新聞オンラインで公開された投稿です。

激しさとスピード感を兼ね備えた平昌五輪「アイスホッケー」の見どころ

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 2月9日から開催される平昌オリンピックに合わせ、東京大学運動会の各団体に競技の見どころについて執筆してもらいました。今回は「スケート部アイスホッケー部門」による寄稿です。

 

写真はスケート部アイスホッケー部門提供

 

 みなさんアイスホッケーはご存知でしょうか?

 

 アイスホッケーは何と言っても世界最大のウインタースポーツであり、日本など東アジアではあまり人気でないながらも、平昌オリンピックでは全チケット収入の20%を見込む花形競技です。東京大学スケート部アイスホッケー部門からは、そんなアイスホッケー競技のルールと見どころをご紹介します。これを読んで、もしくは手に取りながらぜひこの機会にアイスホッケーを知り、ご覧ください!

 

 アイスホッケーは、60m×30mのスケートリンク上で、正味20分×3ピリオド、5人のスケーターと1人のゴールキーパーの6人で戦うスポーツです。ルールは単純、スティックを使ってパックと呼ばれる円盤を取り合い、たくさんゴールに決めたほうが勝ちです。というと紹介にならないので笑、もう少しだけ詳しく解説します。見どころについてのみ知りたい方は読み飛ばしていただけると幸いです。

 

画像はウィキペディアより

 

 まずアイスホッケーの特徴としてゴール裏が使えること、リンクがフェンスで囲われていること挙げられます。比較的安全なゴール裏から攻撃を組み立てる、壁に反射させたり沿わせたりして味方にパスする、など陸上の多くの球技とは違った攻め方が見られます。

 

 それならばプレーがずっと止まらないのではないかと思われた方もいるかもしれませんが、大きく3種類だけプレーの止まる瞬間があります。ペナルティ、オフサイド、アイシングです。アイスホッケーでは身体同士では基本的に何をやっても反則にはならない(からこそ激しい)のですが、特定の反則行為をするとペナルティが課せられます。犯した人は2分間退場し、チームはスケーター4人で戦います。この2分間のことを相手チームから見てPP(パワープレー)と呼び、得点の可能性が高まります。またオフサイドは、相手側ブルーラインにパックより先に選手が入ってはならない、というルールで、簡単に言えばサッカーのオフサイドのオフサイドライン固定版です。アイシングは、センターライン手前から誰にも触れられずゴールラインまで到達してしまうようなパスをしてはならない、というルールで、これを犯したチームは自陣側でプレーを再開しなくてはなりません。これら三つの反則でプレーが止まった場合、その都度フェイスオフと呼ばれるパックの取り合い(バスケのジャンプボールのようなもの)からプレーが再開されます。

 さて、次に見どころをプレー、チームに分けて紹介します。

 

 アイスホッケーで注目してほしいプレーは、激しいチェックとスピードあるスケーティングです。チェックとは選手同士がぶつかり合うタックルのようなプレーのことを言い、アイスホッケーではこれが認められているため、パックを取り合うために選手は常にチェックを狙っています。綺麗に相手の体勢を崩しパックを奪うようなチェックは爽快でアイスホッケーの大きな魅力です。逆に危険な汚いチェックをすると乱闘に発展することもあります。スピード感は、スケートの特性から生まれます。氷上では、陸上と比べてスピードを維持しやすく急に止まりづらいため、選手の速度は格段に早くなります。そのため体力の消耗も激しく、実は試合ではスケーター5人でセットを組み、セットごとに1~2分で交代しています。この二つのポイントは特に男子においてより迫力があります。そんな迫力ある男子アイスホッケーの放送日程は、3位決定戦2/24 21:00~@NHK、決勝2/25 13:05~@NHKとなっています!

 

 次に平昌オリンピックでの注目チームはズバリ、スマイルジャパン(アイスホッケー女子日本代表)です! スマイルジャパンは今乗りに乗っているチームであり、前回のソチオリンピックが初出場ながら、平昌オリンピック予選ではオーストリアに6―1、フランスに4―1、ドイツに3―1とグループ首位でオリンピック出場を決めた他、現在の世界ランクも史上最高の7位となっています。注目選手は、GK#1藤本那菜選手、世界最高峰リーグであるNWHLのニューヨーク・リベターズに所属経験があり、2015年には世界選手権最優秀GKも獲得したエースGKです。スマイルジャパンが果たしてオリンピック初勝利できるかが注目されます。スマイルジャパンの放送日程は、vsスウェーデン2/10 16:30~@NHK、vsスイス2/12 16:30~@NHK, vs韓国・北朝鮮合同チーム2/14 16:30~@日テレとなっています!

 

 韓国開催ということで時差も無くこれ以上ない良い機会なので、是非ご覧ください!

 

東京大学スケート部アイスホッケー部門

田村峻

 

【団体のホームページ】

HP(http://tokyo-icehockey.com/wp/
Twitter(@tokyo_icehockey
Facebook(https://www.facebook.com/univ.of.tokyo.icehockey.team/

東京大学スケート部アイスホッケー部門は1924年に創設され、以来90年以上日本のアイスホッケー界を牽引してきました。現在は関東大学リーグ3部に所属し、推薦入学の無い大学としては全国でもトップレベルの実績を誇ります。今年から「愛し愛されるチーム」をチームバリューに掲げ、こういった新聞寄稿のような形を通じてアイスホッケー界のみならず東京大学に関わる全ての方々に応援をいただけるようなチームを目指しております。この度も平昌オリンピックのTV観戦に止まらず、これからの当部の実際の試合もご覧いただけたらと考えております。当部の活動内容、試合日程等はHP、SNS等で随時お伝えして参りますので、是非ご確認ください。

 

写真はスケート部アイスホッケー部門提供

 

【東大運動会平昌五輪寄稿】

スピンから見る平昌五輪「フィギュアスケート」の見どころ

激しさとスピード感を兼ね備えた平昌五輪「アイスホッケー」の見どころ東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【受験生応援2018】2次試験直前!現役東大生によるアドバイス ~国語編~

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 受験生の皆さん、センター試験お疲れ様でした。2次試験まで1カ月を切りました。センター試験がうまくいった人もいかなかった人も、ここからが勝負時です。東大新聞オンラインでは、受験生応援連載として、東大の2次試験のアドバイスを発信していきます。今回は現役東大生による国語の勉強法アドバイスです。


 東大の2次試験において、国語は最初の試験教科。次の試験に差し響くことがないよう、無難に切り抜けたいと願う受験生がほとんどではないだろうか。他方で、国語は漠然とした問いかけをするため、感覚に頼りがちになってしまう教科でもある。「自分の書いた答案に点数は本当に来るのだろうか。国語が原因で大崩れなんてことになったら……」という不安を拭い去り、どんな問題が出ても安定した点数を取るため、注意したいことが二つある。

 

 一つ目は、漢字や古文単語、漢文の句法などの基礎となる知識を、今一度確認すること。単純なことのようだが、「他の受験生に差をつけられないための努力」も重要なことの一つだ。漢字の書き取りや逐語訳が正確にできるだけで、合格点に大きく近づく。また、本文の理解を問う問題でも、細かな努力を通じて培った語彙や文法の理解は、得点に大きく貢献するだろう。

 

 二つ目は、明快な解答を心掛けること。これは東大内の試験において、多くの教員が指摘することだが、知識や思考過程をとりとめもなく書き散らした解答より、一つの論旨を明確に述べた解答の方が、高い評価を得るという。どんな生徒が欲しいかを決めるのは、同じ東大の教員。入試においても、採点対象になりそうな要素をとりあえず詰め込んだような解答は評価されないだろう。むしろ、答えの核となる文章を組み立てた上で、効果的な接続表現を用いながら付加的に説明を盛り込んだ方が、より明晰に見え、採点者の心証も良くなるはずだ。

 

 以上、もし参考になるところがあれば、1カ月後の試験に生かしてほしい。もっとも、一番良くないのは、他人の意見を意識しすぎて「あーでもない、こーでもない」と解答を直し続けた結果、時間を浪費してしまうこと。特に国語は、様々な「解答術」がちまたに溢れかえっているので、そうした状況に陥りがちだ。結局試験は時間との戦い。完璧ではなくても、自分なりに納得のいく解答が作成できるよう、頑張ってください。

(文Ⅰ・1年=当時)※この記事は、2017年公開の東大新聞オンライン記事からの転載です。

 

 

【受験生応援2018】

現役東大生は試験前日と当日をどう過ごしたの?

現役東大生は試験本番に向けてどう体調管理をしたの?

東大教授が語る2次試験の意味 「知識ではなく考える力を試す」

受験生に代わって絵馬を奉納!

2次試験直前!現役東大生によるアドバイス ~国語編~

2次試験直前!現役東大生によるアドバイス ~数学編~

【受験生応援2018】2次試験直前!現役東大生によるアドバイス ~国語編~東大新聞オンラインで公開された投稿です。

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